7月19日(木)47日め 稚内散策

昨日、利尻富士に登ってバテバテなので、今日は稚内に渡ってのんびりしよう。

ということで、フェリーで利尻島から稚内に渡る。

フェリーには、大学を休学してスーパーカブで旅する若者とか、オフロードバイクに乗るアラサー女性(一人旅)とか、いろいろな人がいて、けっこう話もしたのだが、疲れていて写真を撮るのをすっかり忘れていた。ということで省略。

稚内に着いたら、鉄道マニアならまずここに行く、というところに行く。

稚内駅の「日本最北端の線路」

稚内駅構内を通過してさらに少し北まで伸びている。

というのはJRの旅行客用サービス。もちろん、本当にここまで列車が来るわけではない。ここは黄色がポイントのツーショットなのだ。

次は、ちょっと走って「稚内港北防波堤ドーム」へ行く。歴史的なことは省略。上をクリック/タップしてウィキペディアを参照してね。

ローマ風のデザインがいい。右のフェリーと左の照明もいいでしょ? 撮影地点を決めるのに10分ぐらいかかった貴重な映像(笑)

稚内で一番興味深かったのはこれらの標識 ↓

3つに共通する稚内だけの特徴がある。もちろん地名以外で。

さて、それはなんでしょう?

↓ 3

↓ 2

↓ 1

↓ 0 日本語と英語に加えて、ロシア語が記載されている、ということ。

商工会議所の壁にも。ロシアとの繋がりが深ったことがわかる。

観光客向けではない、生活に溶け込んだ風景がいい。

これもそう。観光客向けではない風景。一時的に使わないので陸に上げてある。なかなかいい顔なのでツーショット。

これもそう。2隻の間でご満悦。

これもそう。「3あ運動」というネーミングがいい。あいさつ、あんぜん、ありがとう。多くの大人がすっかり忘れている言葉だ。

最後に野寒布岬(ノシャップ岬)灯台とツーショット。

昨日の疲れが抜けないので15時に宿にチェックイン。

おやすみなさい。

7月18日(水)46日め 利尻富士に登る

昨夜は、フェリーターミナルのある鴛泊(おしどまり)の宿に泊まった。登山口は近くにある。

0615 コンビニで飲み物と食料を買い、登山口の北麓野営場(ほくろくやえいじょう)に向かう。

0625 到着。登山準備を開始。

このとき、うっかりして食料を地面に置いたのが失敗だった。

バサッと羽音がしたのでそちらを振り向いたら、カラスがアンパンを咥えて飛び上がったところ。アンパンを咥えて「へへ、間抜けなやつ」という顔をしてこちらを見ながら飛び去った(ような気がする)。

これがそのときと同じアンパン。

朝食を取られてしまった。地団駄を踏んでも後の祭り。朝食は抜きだ。

ここから出発。ヒグマ対策の鈴は昨日買った。青銅製で澄んだ良い音がする。少し響きすぎてうるさいが、そのほうが効果はあるだろう。

15分ほどあるくと「甘露泉水」がある。日本百名水。入れ物がないので素通り。

少し行くと3合目。標高270m。

そのちょっと先には姫沼への分岐点。姫沼もなかなか良さそう。登山をしないならこちらを歩くのがいいかも。

登山道を40~50分進むと4合目「野鳥の森」。標高390m。ここまではなだらかな歩きやすい道。

先へ進む。石は増えるが普通の登山道が続く。

さらに40~50分ほどで5合目「雷鳥の道標」。標高610m。

振り向くと礼文島が見える。

さらに登る。木々の間からときどき山頂が顔をのぞかせる。山頂が見えるとがぜんやる気が出る。目標地点がはっきり見えるのはいいものだ。

登るにつれて礼文島を見下ろす角度が変わる。登りながら何度となく見るが、飽きない。

6合目「第一見晴台」に着く。標高760m。

あまりに景色がいいので、パノラマ写真を撮ってみた。拡大して大きな画面でご覧ください。

礼文島のアップ。平らな島なのがよくわかる。

7合目「胸突き八丁」。標高895m。ここからもっと急になるわけだ。まあ、覚悟はしている。

急なので下を向いて黙々と登っていたら、木の枝に頭を思い切りぶつけてしまった。

その枝がこれ ↑ コブができたらしい。頭が少し膨らんでいる。押すと痛い。

同級生の登山の師匠に「下ばかり向いているとダメ」と教わったが、まったくその通り。師匠! 大事な教えを再認識しました。

ここまでは、一休みするたびにチョコレートを食べてエネルギーを補給してきたのだが、今回は金平糖を食べることにする。

「幸せを呼ぶ金平糖入り」と書かれた赤い紙袋。その中に白い袋が入っていて、金平糖はその中だ。金平糖を撮影するのは時間がかかるので袋だけ撮影。

金平糖を食べながらふと見上げると飛行機雲がどんどん伸びていく。あわててシャッターを切る。

何とかうまく撮れた。上の写真をクリック or タップして拡大すれば機体がはっきり写っているのがわかる。

こんなことで喜んでいるんだから単純ですねぇ。と言われるのは覚悟の上。人間は単純でいいのだ。

さらに登ると第二見晴台。八合目はまだ先だ。

標識の側面には行程時間情報が書かれている。ここまで180分ということだが、200分ほどかかっている。遅れ気味ということだ。山頂まで130分では無理だろう。150分はかかると考えたほうがいいだろう。頑張らねば。

どのくらいの角度なのか知るために左の稜線を撮影してみた。

40度ぐらいか? 道はあまり蛇行せず、ほぼ一直線に頂上へ向かっているので、ほぼこの角度で登っていることになる。

振り向くと礼文島が見える。ホッとするひと時。

はあはあと息を切らしながら8合目「長官山」にたどり着く。標高1218m。ここが山という意識はなかったが、マップを見ると確かに「長官山」と記載されている。

あと2合。まだまだ先は長い。

少しなだらかな道が続く。つかの間の休息だ。遠く避難小屋の赤い屋根が見える。

避難小屋に着く。朝食抜きなのでバテるとまずい。オニギリを1つだけ食べることにする。たらこにしよう。残りは鮭だ。

食べて少し元気が出た。はあはあと息をしながら黙々と登る。

やっと9合目。いや、ついに9合目。標高1410m。携帯トイレブースがある。トイレではない。持参した携帯トイレを使う場所だ。使ったものは自分で持ち帰る。

さあ、ここからが正念場だ。

下山する人とすれ違う。道が狭いのでどちらかが待って譲り合う。

バテバテの人が岩の上で休んでいた。声をかけると、もうこれ以上無理なので、引き返すと言う。せっかくここまで来て、と思う。だが、この先がどれだけきついのか見当がつかない。その判断が正しいかもしれない。

(注)結果的にその判断が正しかったと思う。ここから頂上へ行って、またここまで戻るのに3~4時間かかった。あの様子では無理だったろう。

この地点での傾斜はこの角度。

右側の斜面。

左側の斜面。

さらに登ると崩れやすい土になる。試験的な補修をしている、との標識がある。

上のほうにV字形に切れ込んだ部分がある。あそこを越えると頂上はすぐだ、と下山者が教えてくれた。

V字形のところで下山者とすれ違う。慎重に動かないと土が崩れてズルっと落ちる。

後ろを振り返るとこんな風景。さすがにちょっと怖いかな。

崩れを防ぐいろいろな工法を試しているようだ。

根雪の脇を通り過ぎる。

黄色い花が咲いている。たぶんボタンキンバイ。利尻山上部に咲く固有種、ということだ。

この地点では左右はこんな感じ。

 

登るほど急になっている。

もう少しだ。この岩を越えれば、、、

見えた! あれが頂上だ。

狭い稜線を通る。右側を見下ろすと、、、

12時35分、頂上(北峰)到達。標高1719m。6時50分出発なので、5時間45分かかったことになる。

神社の左手に見えるのはローソク岩。

周囲360度が見渡せるパノラマビュー。

神社の裏。西側。

北側。礼文島が見える。

東側。正面やや右手に稚内が見える。

南側。先に見えるのが本峰。標高1721m。

登山地図に「ルートが崩壊して危険なので行かないように!!」とある。「社のある北峰を山頂としている」とのことなので、ここまででいいだろう。

例によって記念撮影。石の間から礼文島が少し顔を出している。

残り1個のオニギリ(鮭)を食べる。最高に美味しい。

1300 出発。ゆっくり休んでいる時間はないのだ。

下りながら見る礼文島も素晴らしい。

避難小屋の赤い屋根が見える。この角度からだと登山道がよくわかる。尖っているのが長官山。確かに山だ。

少し下ったところから山頂を振り返る。うっすらと雲が流れる。

下りは4~5時間。延々と長い。

足がガクガクしてくる。気力で歩くしかない。

冷たいビールを思い浮かべる。夕飯は何にしよう? 登頂記念に奮発しよう! イクラとサーモンの二色丼にしよう。いや、筋肉増強のために肉のほうがいい。トンカツカレーか、焼き肉弁当にするか。

浜口なにがしの「気合いだ、気合いだ、気合いだ~」を真似して気合いを入れる。

気合いだ、気合いだ、気合いだ~。ビールだ、ビールだ、ビールだ~。

水を飲み切ってしまったので、スポーツドリンクゼリーを吸う。う~む、水の役目はあまり果たせない。

麓まで行けば甘露泉水がある。

名水はまだか、名水はまだか、気合いだ、気合いだ、気合いだ~、と繰り返しながら歩き続ける。

麓になるにつれ道は歩きやすくなったが、それにしても距離が長い。足がもつれる。だが、まあ、歩き続ければ確実に着く。18時前後には着けるだろう。何の問題もない。ただ疲れただけだ。

温泉とビールと夕飯のことを考えながら歩き、甘露泉水にたどり着く。

空になったソルティライチのペットボトルに名水を汲む。

うまい! 確かに名水だ。500mlを一気に飲んでしまった。

17:50 北麓野営場に到着。出発から11時間ちょうど。

【編集後記】

富士山の2倍くらい疲れた。11時間ほぼ休みなしというのは辛い。

腰を下ろしたのは避難小屋で1つめのオニギリを食べた5分間だけ。山頂でも座る時間はなかった。そのくらい休まず急いで何とか18時になる前に下山できた。

出発が遅くなったのが反省点だ。5時ごろ出ていればもっと休む時間が取れたはず。

一方で、天気が良く、雲も風もなく、最高の登山日和だった。

無神論者だが、神様ありがとう! と言いたくなった。

7月17日(火)45日め 再び桃岩展望台トレッキング、礼文島から利尻島へ

今日は、北端の船泊(ふなどまり)から南端の香深(かふか)に戻り、再び桃岩展望台トレッキングをしたあと利尻島に渡る予定。

朝、まず礼文空港に向かう。2009年から利用が休止されている空港はどんな様子なのか興味があった。

空港の少し手前で素敵な場所を見つける。

観光客はまったく来ない。

エゾカンゾウ(ニッコウキスゲ)が群生している。ここは隠れたスポットの一つだと思う。ここだけの話ということで、内緒にしておいてください(笑)

礼文空港に着く。

予想通りの風景。それなりの手入れはしている様子。軍事的な存在価値があるからだと思う。

礼文島の北から南まで40分ほど走り、香深に着く。

下のマップは、右が北。反時計回りに90度回転させると一般的な地図の向きになる。

レンジャーハウスの駐車場にバイクを停め桃岩展望台に向かう。10分もかからない。

桃岩は礼文島に着いた日に見たので、さっと通過して少し歩くとこんな光景が。

外来種の植物を見つけ出して駆除しているとのこと。数名の方が年間を通してずっとこの作業を続けているらしい。気が遠くなりそうだ。

これが駆除した外来種。植物の名前を聞いたのだが忘れてしまった。

元地灯台へ向かう。軽いアップダウンの丘陵コースだ。見晴らしが素晴らしい。

進むごとに丘陵の景色が変化する。

雲が少し晴れて、利尻富士の裾野が見えてきた。

道はよく整備されている。

階段の木材に雨水を流す切れ込みがあるが、その位置が一段ずつ変えてある。写真手前から、真ん中、左側、真ん中、右側、だ。こういう細かい工夫が素晴らしい。

すっかり晴れて利尻富士の頂上がくっきり見える。

灯台はもうすぐだ。

ほら、灯台が姿を現した。

利尻富士と灯台のツーショット。桃岩展望台からここまで2時間。花と景色が素敵な気軽なハイキングコースだ。礼文島で第一のお薦め。

一般的にはこのあと知床(しれとこ)まで歩き、バスに乗って香深に戻る。

上の写真の人たちがそれだ。中央に見えるのが知床。灯台から30分ぐらい。

さて、こちらは相棒の待つレンジャーハウスまで2時間かけて戻る予定。逆方向から見る景色も素晴らしいはずだ。

途中で出会った人に撮影していただいた利尻富士とのツーショット。

風に吹かれるエゾカンゾウ。だんだん風が強くなってきた。

花は3日前より少なくなっていて、寂しい感じ。たった何日かでずいぶん変わるものだ。

トレッキングを終えてフェリー乗り場に向かう。

するとこんな光景が。

稚内行きフェリーの出発を数人の男女が歌と踊りで見送っている。

おおっ、まだやっていた!

大学時代に礼文島に来たとき、自分が乗ったフェリーを同じように歌と踊りで見送ってくれた人たちがいた。今でもやっているのだろうか、どんな人たちなのだろうか、とずっと疑問に思っていたのだ。

船が岸壁を離れると、声をそろえて叫ぶ。

いってらっしゃーい。

いってらっしゃーい。

船のマストが見えなくなるまで、何度も叫ぶ。

いってらっしゃーい。

「また来てねー」ではなく、「いってらっしゃーい」というのがいい。ここがあなたの本当の地元なんだと。

船が見えなくなったあと、見送った人たちが終了の儀式をして、それも終ったので、リーダーらしき赤いTシャツの人に声をかける。

ユースホステル桃岩荘のペアレントと宿泊客だった。53年間続けているらしい。

次回はこのユースホステルに泊まろう。見送りにも参加したいし、見送りもしてほしい。

さて、こちらは利尻島行きのフェリーに乗る。

礼文島から利尻島までは45分だ。あっと言う間に着く。

利尻富士が見えてきた。

入港のときに船首が利尻富士に向く一瞬があるはず、と考えて、カメラを持って待ち構える。

フェリーが右旋回しながら港に入る。

利尻富士が右から左へすうっと動く。

ほらね。

ジャストタイミング。

一瞬のイベントは終わり、利尻富士は左へと去っていく。

利尻島に到着。

【本日のデータ】

桃岩展望台・元地灯台の往復時間:徒歩4時間

礼文島→奥尻島:フェリー45分