7月18日(水)46日め 利尻富士に登る

昨夜は、フェリーターミナルのある鴛泊(おしどまり)の宿に泊まった。登山口は近くにある。

0615 コンビニで飲み物と食料を買い、登山口の北麓野営場(ほくろくやえいじょう)に向かう。

0625 到着。登山準備を開始。

このとき、うっかりして食料を地面に置いたのが失敗だった。

バサッと羽音がしたのでそちらを振り向いたら、カラスがアンパンを咥えて飛び上がったところ。アンパンを咥えて「へへ、間抜けなやつ」という顔をしてこちらを見ながら飛び去った(ような気がする)。

これがそのときと同じアンパン。

朝食を取られてしまった。地団駄を踏んでも後の祭り。朝食は抜きだ。

ここから出発。ヒグマ対策の鈴は昨日買った。青銅製で澄んだ良い音がする。少し響きすぎてうるさいが、そのほうが効果はあるだろう。

15分ほどあるくと「甘露泉水」がある。日本百名水。入れ物がないので素通り。

少し行くと3合目。標高270m。

そのちょっと先には姫沼への分岐点。姫沼もなかなか良さそう。登山をしないならこちらを歩くのがいいかも。

登山道を40~50分進むと4合目「野鳥の森」。標高390m。ここまではなだらかな歩きやすい道。

先へ進む。石は増えるが普通の登山道が続く。

さらに40~50分ほどで5合目「雷鳥の道標」。標高610m。

振り向くと礼文島が見える。

さらに登る。木々の間からときどき山頂が顔をのぞかせる。山頂が見えるとがぜんやる気が出る。目標地点がはっきり見えるのはいいものだ。

登るにつれて礼文島を見下ろす角度が変わる。登りながら何度となく見るが、飽きない。

6合目「第一見晴台」に着く。標高760m。

あまりに景色がいいので、パノラマ写真を撮ってみた。拡大して大きな画面でご覧ください。

礼文島のアップ。平らな島なのがよくわかる。

7合目「胸突き八丁」。標高895m。ここからもっと急になるわけだ。まあ、覚悟はしている。

急なので下を向いて黙々と登っていたら、木の枝に頭を思い切りぶつけてしまった。

その枝がこれ ↑ コブができたらしい。頭が少し膨らんでいる。押すと痛い。

同級生の登山の師匠に「下ばかり向いているとダメ」と教わったが、まったくその通り。師匠! 大事な教えを再認識しました。

ここまでは、一休みするたびにチョコレートを食べてエネルギーを補給してきたのだが、今回は金平糖を食べることにする。

「幸せを呼ぶ金平糖入り」と書かれた赤い紙袋。その中に白い袋が入っていて、金平糖はその中だ。金平糖を撮影するのは時間がかかるので袋だけ撮影。

金平糖を食べながらふと見上げると飛行機雲がどんどん伸びていく。あわててシャッターを切る。

何とかうまく撮れた。上の写真をクリック or タップして拡大すれば機体がはっきり写っているのがわかる。

こんなことで喜んでいるんだから単純ですねぇ。と言われるのは覚悟の上。人間は単純でいいのだ。

さらに登ると第二見晴台。八合目はまだ先だ。

標識の側面には行程時間情報が書かれている。ここまで180分ということだが、200分ほどかかっている。遅れ気味ということだ。山頂まで130分では無理だろう。150分はかかると考えたほうがいいだろう。頑張らねば。

どのくらいの角度なのか知るために左の稜線を撮影してみた。

40度ぐらいか? 道はあまり蛇行せず、ほぼ一直線に頂上へ向かっているので、ほぼこの角度で登っていることになる。

振り向くと礼文島が見える。ホッとするひと時。

はあはあと息を切らしながら8合目「長官山」にたどり着く。標高1218m。ここが山という意識はなかったが、マップを見ると確かに「長官山」と記載されている。

あと2合。まだまだ先は長い。

少しなだらかな道が続く。つかの間の休息だ。遠く避難小屋の赤い屋根が見える。

避難小屋に着く。朝食抜きなのでバテるとまずい。オニギリを1つだけ食べることにする。たらこにしよう。残りは鮭だ。

食べて少し元気が出た。はあはあと息をしながら黙々と登る。

やっと9合目。いや、ついに9合目。標高1410m。携帯トイレブースがある。トイレではない。持参した携帯トイレを使う場所だ。使ったものは自分で持ち帰る。

さあ、ここからが正念場だ。

下山する人とすれ違う。道が狭いのでどちらかが待って譲り合う。

バテバテの人が岩の上で休んでいた。声をかけると、もうこれ以上無理なので、引き返すと言う。せっかくここまで来て、と思う。だが、この先がどれだけきついのか見当がつかない。その判断が正しいかもしれない。

(注)結果的にその判断が正しかったと思う。ここから頂上へ行って、またここまで戻るのに3~4時間かかった。あの様子では無理だったろう。

この地点での傾斜はこの角度。

右側の斜面。

左側の斜面。

さらに登ると崩れやすい土になる。試験的な補修をしている、との標識がある。

上のほうにV字形に切れ込んだ部分がある。あそこを越えると頂上はすぐだ、と下山者が教えてくれた。

V字形のところで下山者とすれ違う。慎重に動かないと土が崩れてズルっと落ちる。

後ろを振り返るとこんな風景。さすがにちょっと怖いかな。

崩れを防ぐいろいろな工法を試しているようだ。

根雪の脇を通り過ぎる。

黄色い花が咲いている。たぶんボタンキンバイ。利尻山上部に咲く固有種、ということだ。

この地点では左右はこんな感じ。

 

登るほど急になっている。

もう少しだ。この岩を越えれば、、、

見えた! あれが頂上だ。

狭い稜線を通る。右側を見下ろすと、、、

12時35分、頂上(北峰)到達。標高1719m。6時50分出発なので、5時間45分かかったことになる。

神社の左手に見えるのはローソク岩。

周囲360度が見渡せるパノラマビュー。

神社の裏。西側。

北側。礼文島が見える。

東側。正面やや右手に稚内が見える。

南側。先に見えるのが本峰。標高1721m。

登山地図に「ルートが崩壊して危険なので行かないように!!」とある。「社のある北峰を山頂としている」とのことなので、ここまででいいだろう。

例によって記念撮影。石の間から礼文島が少し顔を出している。

残り1個のオニギリ(鮭)を食べる。最高に美味しい。

1300 出発。ゆっくり休んでいる時間はないのだ。

下りながら見る礼文島も素晴らしい。

避難小屋の赤い屋根が見える。この角度からだと登山道がよくわかる。尖っているのが長官山。確かに山だ。

少し下ったところから山頂を振り返る。うっすらと雲が流れる。

下りは4~5時間。延々と長い。

足がガクガクしてくる。気力で歩くしかない。

冷たいビールを思い浮かべる。夕飯は何にしよう? 登頂記念に奮発しよう! イクラとサーモンの二色丼にしよう。いや、筋肉増強のために肉のほうがいい。トンカツカレーか、焼き肉弁当にするか。

浜口なにがしの「気合いだ、気合いだ、気合いだ~」を真似して気合いを入れる。

気合いだ、気合いだ、気合いだ~。ビールだ、ビールだ、ビールだ~。

水を飲み切ってしまったので、スポーツドリンクゼリーを吸う。う~む、水の役目はあまり果たせない。

麓まで行けば甘露泉水がある。

名水はまだか、名水はまだか、気合いだ、気合いだ、気合いだ~、と繰り返しながら歩き続ける。

麓になるにつれ道は歩きやすくなったが、それにしても距離が長い。足がもつれる。だが、まあ、歩き続ければ確実に着く。18時前後には着けるだろう。何の問題もない。ただ疲れただけだ。

温泉とビールと夕飯のことを考えながら歩き、甘露泉水にたどり着く。

空になったソルティライチのペットボトルに名水を汲む。

うまい! 確かに名水だ。500mlを一気に飲んでしまった。

17:50 北麓野営場に到着。出発から11時間ちょうど。

【編集後記】

富士山の2倍くらい疲れた。11時間ほぼ休みなしというのは辛い。

腰を下ろしたのは避難小屋で1つめのオニギリを食べた5分間だけ。山頂でも座る時間はなかった。そのくらい休まず急いで何とか18時になる前に下山できた。

出発が遅くなったのが反省点だ。5時ごろ出ていればもっと休む時間が取れたはず。

一方で、天気が良く、雲も風もなく、最高の登山日和だった。

無神論者だが、神様ありがとう! と言いたくなった。

6月19日(火)17日め 西吾妻山登山(後編):残雪を歩く

30~40分も話してしまったので先を急ぐ。

3本めのリフトを降り、しばらく登ると残雪に出会う。

この残雪を横切らないと進めない。

靴が雪に潜る。

水芭蕉かコバイケイソウ。どちらかわからない。あちこちでかわいい芽を出している。

人形石に出た。ちょうど出会った人とお互いに撮影しあう。

さらに進む。下は大凹(おおくぼ)からお花畑あたりの風景。湿原で景色がいい。

黄色い小さな花が一面に咲いている。(たぶん)チングルマ。

残雪が残る。このあたり一帯は高山植物の宝庫らしい。

その後は岩場が続き、やっと梵天岩に着く。

頂上は見晴らしが悪いらしいので、ここで記念撮影。手に持つのはポッキー風船。ペンション アミティエ さんでいただいたやつ。下山したら「西吾妻山山頂まで登ってきた風船」ということでお返ししよう。

天狗岩に着く。写真のような岩場がずっと続く。見た目よりずっと歩きにくい。遠くに見えるのは吾妻神社。

もみじの新緑が美しい。秋は素晴らしい景色が見られそうだ。

山頂到着。周りは樹木だけ。ぱっとしない風景なので、絵になりそうな角度で撮影してみた。△の赤い標識に「西吾妻山」とある。

山頂から西吾妻小屋まで10分ほど。無人の避難所だ。トイレを使わせていただく。

あとは登りと同じルートで下山する。岩場が多く、くるぶしとひざがガクガクしてくる。リフトの終了が1600なので間に合わないとたいへんだ。タイムリミットがあるのは辛い。

なんとか間に合い、リフト2本を乗り継いで降りる。最後のリフトには乗らず、ゲレンデをグラススキー気分で歩いて降りることにした。

このゲレンデはグラススキー用に芝生を植えて整備したのだそうだ。どんなゲレンデでもグラススキーができるわけではないのだ。

グラススキーをしている目線で撮影してみた。気分だけでも味わえるかな?

ごきげんな感じでペンションまで戻り、預かっていただいた荷物を受け取り、風船をお返しし、ロープウェイに乗る。17時で終了なので乗り遅れないよう気を遣う。

西吾妻山は日本百名山だがマイナーな感じだ。頂上の景色の悪さと岩場の歩きにくさが原因だろう。ロープウェイやリフトの時間の制約があるのもつらい。リフトを使うので歩く距離は短いのだが、脚を酷使する点では磐梯山よりも厳しい。ただ、残雪の中を登りたいならここだ。

【本日のデータ】

走行歩数:21041歩

登山時間:8時間(うち約40分は高橋富幸さんとのおしゃべり)

6月14日(木)12日め(後半) 安達太良山で消防救急隊の訓練に出会う

山頂を極めたあとは「牛ノ背」に向かう。山頂から見える牛ノ背はこれ。

稜線で樹木がないので風がまともにあたる。強風時は注意が必要だ。今日は風が無くのんびり歩けた。

鉄山との分岐点。ここからくろがね小屋に向かう。

振り替えって、牛ノ背を望む。

だらだら下りが続く。

途中で、訓練中の消防救急隊の人たちと出会う。新人の訓練らしい。あとで調べたところ、消防職員初任教育山岳訓練というらしい。間違っていたらごめんなさい。

朝、ロープウェイの駅に制服姿の人たちが整列していたが、この人たちだったのだ。

せっかくの出会いなので、図々しく記念撮影をお願いした。それがこれ↓

シャッターを押していただいた隊員の方、写ってなくてごめんなさい。

みな気さくないい人たちだった。写真の掲載も快くオーケーしていただいた。

この日の宿を取っていなかったので、下山後、お勧めいただいた岳温泉に宿泊した。

とてもいい宿で、宿泊して大正解。ありがとうございました。

息子さん、消防士で川越に来られるといいですね。市をあげて歓迎します(笑)

1400 くろがね小屋で遅い昼食。

写真を撮ったりお話ししたりしているので一般の1.5倍ぐらい時間がかかっている。少し急がねば。

2時間ほどくだり、そろそろ登山口というあたりで遊歩道に出る。

1630 遊歩道から少し歩くと登山口に出る。青空が気持ちいい!

【本日のデータ】

登山時間:7.5時間(山岳マップでは4時間10分)

歩数:28896歩