今日は、三重県の桑名へ行く。
六華苑は和洋ハイブリッド邸宅、なばなの里はイルミネーションだ。
名古屋からは少し西へ戻ることになるが、1時間30分ほどなので問題はない。
六華苑は、鹿鳴館やニコライ堂の設計者ジョサイア・コンドルが設計した洋館で有名。
NHK大河ドラマ「韋駄天」のロケでも使われた。
なばなの里は、10日ほど前、中学時代の同級生からブログにコメントが入り、猛烈なおススメ。イルミネーションが凄いから行け! 人生で感動したベスト10に入る! と。
う~ん、イルミでそんなに感動するかぁ。あいつの人生、貧しいんじゃないの?
と思いつつ、ダメもとで行ってみることにした。
今までのおススメは全部よかったから、ホントにいい可能性もある。
なばなの里には夕方入ればいいので、その前に六華苑に行く。
1030 宿を出発。
1220 六華苑に到着。
入口のチケット売場は長屋門。
いいね。昔の雰囲気が伝わってくる。
長屋門を抜け、アプローチを進むと、、、
正面にドーンとこの洋館が出現。
何と言っても、この塔が目を引く。
4階建て。
2階建ての洋館の隣で、塔の3階と4階が天に突き上がる。
まず、建物を周囲から拝見。
明治の洋館と言えばこんな感じ。洋館のイメージそのもの。
さらに回り込む。
と、イメージを現実がぶち壊す。
洋館と和館がベッタリと貼り付いている。
う~む、なぜ少し離さない。
長屋みたいにつなげる意味ある?
接続部分は、計画的に作られた感じ。
瓦の屋根が洋館に入っているように見えるが、入ってはいない。
和館の2階。
和館は全てほぼ平屋だが、ここだけが2階。
飾りがなく品のよい感じ。
和館を外から見て歩く。
シンプルで上品な造り。いいね。
障子が開け放たれて裏庭が見える。とても開放的な造りだ。
と、そこへ結婚披露宴姿の男女。
写真の撮影だろう。微笑ましい。
館内に入る。
ボランティアの方が説明をしてくれるというので、お願いすることに。
まずは洋館。
よくある洋館の造りだ。
調度品は使っていたものではない。公開用の飾り。
暖炉。各部屋にあり、少しずつデザインが異なる。
階段。
踊り場の下に、支える柱がない。
注意書きに、同時に10人以上乗るな、と書いてある。
階段を上がり、2階に進む。
塔の部屋。
窓枠もカーブさせている。
塔の3階へ上る階段。螺旋階段のようになっている。
サンルーム。
明るくて暖かい。ご主人のお気に入りだったらしい。よくわかる。
庭ではさっきの人たちが記念撮影。
いつまでもお幸せに。
居間。
居間の収納。
ここだけが和風。面白い。洋館の中では、ここが一番興味深かった。
和館に移動。
廊下がつながっているので、そのまま移れる。
廊下に出てビックリ。なんと廊下が2つある。
写真中央は畳敷きの廊下。右は板張りの廊下。
畳敷きは家族・来客用。板張りは使用人用。
使用人に同じ廊下を歩かせたくなかったようですね。
と、ガイドさん。
しかも、畳敷きは板張りよりも幅が広い。
分けるだけならまだしも、板と畳、狭いのと広いの、徹底的に差をつけるやり口。
う~ん。
資産家の二代目が23歳のときに新居として作った建物、という話を聞いて、いやな感じがしていたのだが、ここまでいやな奴とは、、、
父親が亡くなったあと18歳で事業を継いだという。
23歳までの5~6年間に使用人との間が険悪になっていたのか?
若くてもバカにされないよう虚勢を張っていたのか?
妄想が膨らむ。小説のネタとしては面白い。
いずれにしても、「家族・来客用と使用人用に用途が分けられた廊下が隣接して存在する館」は(少なくとも日本には)他に無いだろう。そういう意味では貴重だ。
部屋の造りはいい。特に欄間が気に入った。
透かし彫りなどにせず、シンプルだがセンスがいい造形。
照明も独特のデザインだ。
この照明、和紙張りの欄間とのマッチングもバッチリ。いいね。
このセンス、性格の悪い二代目若造のものとは思えない。
和館の設計者のセンスだろう。
戸袋。
写真に写っている側面部分は開かない。雨戸の出し入れは裏側(廊下側)の狭い窓口からおこなう造り。これだけの枚数の雨戸を出し入れするのは相当にたいへんなはず。
使用人の苦労など全く意に介さない設計。
和館の設計者、デザインセンスはいいけれど、人間性はいかがなものか。
この時代では当たり前、と言われればそれまでだが、、、
和館の奥にある蔵。
悔しいが、デザインだけはカッコいい。
ガイドさんと別れ、庭を一周する。
さっきとは別の人たちが記念撮影の真っ最中。
煉瓦の壁は洋装にベストマッチ。
純白のウェディングドレスが映えますね。
ご家族が遠くから見守る中、撮影は進みます。
いつまでもお幸せに。
煉瓦の壁の向こうは父親の屋敷。諸戸氏庭園として一般公開されている。
父親の屋敷との間に煉瓦の壁を築く息子。すでに父親は亡くなったというのに。
はたして父と子の間にはどんな確執があったのか?
今でも父親を尊敬する使用人たち。父を拒絶する心の深い闇、、、
虚栄心が強く、金遣いが荒く、思いやりのかけらも無い二代目ドラ息子。
これから彼を待つのは地獄か天国か、それとも、、、
という妄想にふけりつつ、池をグルっと回り込む。
うん。この館を最も的確に表現する角度はここだ。
洋館に和館が貼り付いているように見える。
竹に木を接ぐ、ということわざがある。まさにそれ。
これほど不自然で奇妙で醜い建物は珍しい。
なぜ竹に木を接いだのか、不思議だ。
独立させて渡り廊下でつなぐのが自然だろう。
奇抜さを狙ったにしては、洋館、和館、それそれの造りがまとも過ぎる。
不思議の国の館。謎は尽きない。
裏庭に回る。
離れ屋。
開放的な造りだ。外廊下の全面透明のガラス戸が秀逸。
眺めがよく陽が射しこめば温かい。いわば和式のサンルーム。
番蔵棟。
衣類や日常使う調度品を収納していた、とある。どれだけ持てば気が済むのか。
二番蔵。膳碗・什器を入れていた、とある。好きなだけ溜め込んでください。
裏庭を一周。和館の裏手に出る。
裏から表を観る風景。奥から手前に引き戸が並ぶ。ちょっと壮観。
奥から、(1) ガラス戸、(2) 障子戸、(3) 障子戸、(4) 障子戸、(5) ガラス戸。
当時の使用人たちは、このように開放された光景を見たことがあるのだろうか。
妙齢のおねーさんたちが大声で雑談。笑い声が聞こえる。
今日も平和でのどかな一日が過ぎていく。
それにしても、これだけ建築主の人となりを感じさせる建物は初めてだ。設計者が有名人という枠を超えて、実に面白い。NHK大河ドラマ候補に推薦したい。
さて、なばなの里に急ごう。
1440 六華苑を出発。長良川(ながらがわ)沿いの道に出る。
と、こんな光景が、、、
川の中にキノコのようなものが並ぶ。
これは何?
と気になりつつ、なばなの里に向かう。と、キノコがどんどん近づいてくる。
アクアプラザながら。長良川河口堰の紹介施設。なばなの里入口の反対側にある。
アクアプラザながらの紹介。
キノコの説明もある。河口堰のゲート開閉装置などを守る操作台上屋だ。
なるほど。一般的には四角形の武骨なものだが、ここは水滴をイメージしたデザインだ。
キノコじゃなく水滴。失礼しました。
水滴まではバイク進入禁止。
歩いて行ってみた。
やっぱりキノコ。どう見てもシメジかエノキ。
あの中にいろいろな装置が入っている。おそらくメインはモーター。
ワイヤーで調節ゲートを上下させ、水量を調整する。
キノコの正体がわかって満足。また一つ利口になった。
ブイの上に白鷺が並ぶ。
ほぼ等間隔、首の角度もほぼ同じ。いいね。
1530 なばなの里に到着。
チケットを買い、中に入る。
チケット代は2300円だが、1000円の金券が付いてくる。
つまり、入場料1300円+商品代1000円、という仕組み。
強制的に1000円分は使わせようというたくらみですね。
私の場合、ここで早い夕飯を食べる予定だったので、問題なし。
中華料理店で担々麵、と決めてある。お店のレベルがわからないときは安全パイ(笑)
入口を入ると、目の前が撮影コーナー。
向こうの空に円盤みたいのが浮いているのが目に留まる。
見る見る下がって、槍のような屋根より低くなり、木陰に沈んでしまった。
あれは何? あとで行ってみよう。
花は咲いているが、この程度。イルミなしでは客は来ないね。
紅葉もあるが、この程度。イルミなしでは客は来ないね。
さっきの円盤。地上で休憩中。アイランド富士、という乗り物。
日没後、17:10から再開する、と貼り紙。500円。金券も使える。
よし、乗ろう。その前に、担々麵を食べなきゃ。
食べてみた。
フードコートで出る麺の高級版。安っぽい味だが器とお店の雰囲気で高級感を出す手法。
日没。
空に明るさは残っているが、イルミはスタート。
音楽の流れに乗って、イルミが変化。いいね。
光の動きが変化し続け、飽きさせない。
向こうに見える塔は、チャペル。
円盤も飛び立った。
離陸から帰還まで7分間の空の旅。
円盤の船内。
好きなところに座って2回目の離陸を待つ。
最高高度でグルっと一回転。なばなの里全体のイルミが見える。
あっと言う間なので、どこがどこだかわからない。
イルミのトンネル。
光に包まれる感覚。
観光客みんなテンションMAX。手をつなぐには絶好の機会。
今年のメインイルミ「雲海」というスポットに着く。
観覧席から雲海を観る。
円柱状のものはストーブ。上に熱源がある。
雲海も、音楽に乗って色が変化。ご覧ください。
10分~15分周期で同じ変化を繰り返す。
なかなか飽きない。2回ほど観る。
出口に向かって、ブラブラと観て回る。
ハートイルミを撮るお兄さん。
園内には細かいギミックがあちこちに。
ライトアップされた花の中を手をつないで歩く。
願いが叶った瞬間、かな。
チャペルの前に戻る。
イルミの舞はずっと続く。
月に向かって円盤が飛ぶ。
地上には樹齢100年のオリーブ。
ベビーカーを押すおとーさん、赤ちゃんを抱くおかーさん。
シルエットがまるで影絵。絵になる風景。
最後に一人で記念撮影。
う~ん、シニアがひとりで記念撮影の図、というのは、やはり寂しい光景だ。
次回は二人でこよう。
中学時代の友だちのおススメは今回も確かだった。
人生のベストテンに入る、かどうかはともかく、おススメはできる。
ありがとね。楽しみました。
■本日のデータ
六華苑:入苑料460円。
アクアプラザながら:入場無料。
なばなの里:
入里料2300円(金券1000円分を含む)
円盤乗船料500円、ベゴニアガーデン500円。
料理は2~3割高め。食べ歩きできるコロッケなどを売るエリアがある。
駐車場は広い。バイクは無料。車は未確認。
コインロッカーあり。再入場可能。
■本日の宿
桑名市。六華苑の近く。無料朝食(小鉢のおかずがいろいろ)付き。屋根付き駐輪場。