※これを書いているのは7/14(日)。時間が経ちすぎてだいぶ忘れてしまった。高揚感も薄れている。やはり旬なうちに書かかないとダメですね。
今日は鹿児島市内を観光したあと、明治の世界遺産群を観ながら霧島市に向かう予定。
まず、バイクは宿の駐車場に停めたまま、徒歩で鹿児島中央駅に向かう。
数分で駅前広場に到着。
江戸時代、薩摩藩から外国に留学した人たちの群像がある。
この位置から見ると、後ろの観覧車が後光っぽく見えるのが面白い。
この留学生たちが薩摩藩の中核となり、明治維新に繋がっていくことになる。外を見て学んでいた薩摩藩と国内しか見ていなかった幕府。大きな力の差が生まれるのは当然だと改めて感じる。
駅に向かう。
辻立ちで托鉢(たくはつ)中の修行僧。
スマホ片手に急ぐ女性と鉢を片手に身じろぎしない僧。
同じ空間で一瞬の交差。いつでもどこでもドラマがある。
駅の階段。休憩用の椅子で談笑する人たち。いいね!
登ってみた。
二人掛け、3段おき。センスある設備。企画者に「いいね!」を贈呈。
駅ビルの観覧車アミュランに乗ってみた。
足元も透明なオールクリアーゴンドラ。
素早く乗り込む。まだ屋内なので外の景色は見えない。
音声ガイド。無料。
ゴンドラはじわじわ上昇中。
双眼鏡。こちらも無料。
ゴンドラ下部の透明度はこのくらい。キズだらけで曇っている。
屋上から上に抜けた瞬間。う~、ワクワクする。こういう瞬間が好き。
留学生群像が見える。
新幹線も見える。
桜島をバックにした鹿児島市内。中央に見える甲突川(こうつきがわ)がいいね。
路面電車が走る街は楽しい。富山も広島も鹿児島も楽しい街だ。
14分30秒の空中散歩。楽しかった!
宿に戻り、バイクで出発。
西郷隆盛像。小高い場所から道行く人々を見下ろしている。
上野公園の浴衣姿とは異なり、こちらは軍服姿。お腹が出ているのは同じ。
市立美術館の駐車場にバイクを置き、徒歩で市内を散策することにした。
まず、鹿児島県 歴史資料センター 黎明館に向かう。ここは島津氏の居城、鹿児島城(鶴丸城)があったところ。
黎明館庭園に移設されていた民家が興味深かった。
二つの家が連結された「樋の間(てのま)二つ家」という造りだ。
裏から。確かに二つの家がつながっている。
間取図。「てのま」で連結されたL字形なのがわかる。
正面から。てのま(樋の間)の屋根部分が雨樋になっている。
造りが面白い。
元々は竹だけを組み合わせたものだろう。近代になって補修で銅板を被せたのではないか。
竹だけでも雨量が少なければ雨漏りしない構造だ。どこまでの雨量に耐えられるかは微妙だが。
内部。間取図で「どっにわ」(L字の角のところ)からの風景。
左手が「なかえ」側、右手が「てのま」「すえ」「かみおもて」側。
二家族が半独立状態で土間(キッチン)を共有していたわけだ。
二世帯住宅!
北東へ2、3分歩いたところに薩摩義士碑がある。
これは幕末&明治維新とは関係なく、江戸時代(宝暦)に幕府の命で行われた木曽川・揖斐川・長良川(岐阜県)の改修工事の犠牲者の碑。1000人が動員され、88名がなくなったらしい。死者が8.8%とは!
駐車場まで戻り、バイクで西郷隆盛 南洲翁 洞窟へ向かう。
西南戦争のときに西郷隆盛が立てこもったという洞窟だ。
これがその洞窟。
5日間この洞窟ですごした、とある。享年49歳。
そこからバイクで3分ほど坂道を登ると城山公園駐車場。
さらに徒歩で5分ほど登ると城山公園展望台に着く。
桜島をバックに記念撮影する小学生たち。修学旅行or遠足だろう。
雲もなく絶好の行楽日和。街も桜島もよく見える。
標高107m。観覧車アミュランの最大高は91m。こちらのほうが16mほど高い。
気が付くと14:30。ゆっくりしすぎた。
世界遺産群巡りに出発しよう。
城山公園駐車場から4km、10分ほど走り、通称「異人館」に着く。
旧鹿児島紡績所技師館(異人館)入口。
イギリス式コロニアル様式の典型的な建物だ。
二階の窓ガラスに反射した光が虹のような模様を作る。
当時の窓ガラスには微妙な歪みがあるのでこう見える。
古い洋風建築で大好きなところがこれ。素晴らしい!
中は資料館になっている。
コロニアル様式の解説。
コロニアル様式の系統図が面白かった。
この異人館や長崎の有名な旧グラバー住宅はベランダコロニアル。
長崎の大浦天主堂は木骨石造コロニアル。
札幌時計台は下見板コロニアル。
ひと口にコロニアルと言ってもいろいろあるものだ。
世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の解説。
「鹿児島から始まる~」という見出しが誇らしげだ。
さて、いくつかの跡地を見ながら仙厳園に向かおう。
造船所跡。案内板だけ。
鹿児島紡績所跡。案内板だけ。
バイクで3分ほど走ると旧集成館機械工場だ。
旧集成館とはたくさんの工場が集まったものを言う。この建物はその一つで、機械工場。現存する日本最古の洋式工場だ。イギリスやオランダから輸入した機械を蒸気機関で駆動し、さまざまな機械部品を製造していた。
現在は、博物館になっていて、当時の機械が陳列されている。撮影禁止なのでお見せできないのが残念。
江戸時代からこんな機械を使って船の部品などを製造していたのか、と思うと、薩摩藩主たちの先見性には頭が下がる。
すぐ隣の仙厳園に向かう。薩摩藩主島津家の別邸だ。
これがすごい。島津家がいかに先進的かを目の当たりにすることができる。
案内板。ここを訪れた際は、案内板をよく読み、重要なものを見逃さないほうがいい。ボーっと見てるとチコちゃんに叱られる。
仙厳園入口。島図家の家紋が印象的だ。
入口を入ると、正面に反射炉跡が見える。
反射炉とは金属を溶かして精錬する設備。これは大砲を鋳造するために造られた。
外国船と戦うには高性能な大砲が必要だが、輸入するだけでは限界がある、ということで反射炉を建造して自分たちで大砲を作ったわけだ。
こうして作られた大砲がのちに幕府との戦いで役立つわけだ。
現在、残っているのは基礎部分。階段があるので登ってみた。
けっこう複雑な構造だ。
別邸の中に大砲製造所がある、というのが面白い。幕府の目から隠すには好都合なので、きっとそんな理由もあったのだろう。
薬丸自顕流(じげんりゅう)の展示棟。
一般的には「示現流」と書く、流祖の東郷重位(とうごう ちゅうい/しげかた)が有名だ。薬丸自顕流は示現流の分派で、江戸末期に薩摩藩の剣術師範をしていたので、関係が深いということで展示されているのだろう。
少し歩くと、いかにも日本庭園、という感じの庭に出る。
錫門(すずもん)。屋根が錫製なので、この名が付いた。
瓦ではなく錫製というのが面白い。江戸時代初期に薩摩藩で錫鉱山が発見されたので、設計者が「錫で作ってみましょう」みたいなノリだったのかも。
錫門を抜けると正面が御殿(お屋敷)。
中庭をグルっと囲むように廊下がある。障子から入る柔らかな光が美しい。
NHK大河ドラマ「西郷どん」(せごどん)の衣装。
薩摩焼の蓋付壺。同じものが二つ並ぶ。
島津家29代忠義が、ロシア帝国最後の皇帝、ニコライ2世の戴冠式のときに贈った薩摩焼の複製。現物はエルミタージュ美術館所蔵。
美しくて見惚れてしまった。写真では美しさが全く伝わらない。残念!
中庭。
畳の上に洋風のテーブルとイス。和洋折衷(わようせっちゅう)の見本その1。
来客時にはこのような形で食事をしたらしい。おそらく貿易相手の外国人がたくさん訪れたのだろう。
家紋入りの照明器具。さすが藩主だ。
廊下から回遊式庭園を望む。右手に桜島が見える。壮大な借景。
藩主の居間。日常はここで過ごしたらしい。
藩主が座った位置に座ってみた。
藩主の目線での眺め。桜島が額に入った絵のように見える。何という贅沢。
寝所。螺鈿細工(らでんざいく)の欄間(らんま)がオシャレ。
応接室。和洋折衷(わようせっちゅう)の見本その2。
庭に出てみる。
桜島がすぐそこ。
回遊式庭園。
高枡(たかます)。園内のわき水を石造りの水管集め、高枡から御殿前の池などに配水している。サイフォンの原理で水量を調整しているらしい。
明治25年に造られた水力発電用ダム跡。発電設備はどこにあったのだろう?
猫神わきの絵馬。
お尻のほうの水がいっぱいになると、このように頭が跳ね上がり、ゴン、と落ちる。
仙厳園を見終え、関吉の疎水溝に向かう。
約8km、20分。
集成館に工業用水を供給した水路。
左手が水路、右手が川。少し上流に水の取入口があるはずなのだが、よくわからなかった。
だいぶ、遅くなってしまった。
寺山炭窯跡に急ごう。反射炉などで使う上質な炭を作った窯だ。
約7km、20分。
駐車場らしき場所にバイクを停め、徒歩で坂道を下る。
90mほど歩くと道路の右側に炭窯が見えてきた。
炭窯は道路より低い位置にあるので、上から覗き込んでいる形になる。
炭窯を正面から見たところ。中央の出入り口から内部が少し見える。
あちこちがブルーシートで覆われているのは発掘調査中のため。
近代工業用エネルギーを自前で作る技術を開発していたことに驚く。
倒幕・明治維新はこの炭窯から生まれたと言っても過言ではない。
※NHKスペシャル風にまとめてみました。
後日談。
7月初旬の豪雨による土砂崩れで炭窯が埋没したというニュースがあった。https://www.sankei.com/life/photos/190702/lif1907020021-p1.html
山の中腹なので昔も同じようなことがあったのではないか。
【本日の宿】
霧島の隼人駅付近。5月19日、20日にもお世話になった宿。
バイク好きで楽しいご主人がいらしゃる。
【本日の感想】
明治の産業革命関連の世界遺産には興味があり、すべて回ろうと考えている。
明治維新の背景が肌で感じられる気がしてとても興味深い。