2019/7/22 (後編)ドクターヘリで屋久島から鹿児島に!(D192_2)

昨夜、深夜に10分間ほど呼吸が苦しくなることがあった。
今年の冬にも似たようなことがあり、近所のお医者さんに行ったところ、軽い気管支喘息(きかんしぜんそく)の兆候があると言われていた。
気管支喘息は冷たい空気を吸って気管が収縮し狭くなるために起こる。だから温めて広げてやればいい。
昨夜もそうだった。クーラーで室温が下がりすぎたせいだろう。お湯を沸かしてペットボトルに入れ、タオルで包んで胸に当てていたら、しばらくして治った。

昨夜はそれでよかったが、明日は縄文杉まで往復する予定だ。縄文杉は島の中央部にあり、登山口から徒歩で往復10時間ほどかかる。もし、その間に雨に会い、空気が冷え込んだ場合、喘息が起きる可能性がある。万が一に備えて、喘息の薬(気管拡張剤)を処方してもらうことにした。

Googleマップで調べると、宿に向かう途中に大きな病院がある。
よし、ここに行こう、と決めた。

1415
屋久島環境文化村センターを相棒バイクで出発。

1420
5分ほど走り、病院に着く。

1440ごろ
診察開始。今は喘息の症状は出ていない。念のため心電図をとることに。

1520ごろ
再び診察開始。

(心電図を見ながら)う~ん、この部分の波形が気になるなあ。

えっ、どこですか? 波形整ってますよね? 不整脈じゃないですよね?

うん、不整脈じゃない。全体的な波形は問題ないんだけど、、、
ほらここ。上にピンと大きく跳ねたあと、波が下に落ちるだろ。落ちたところのv字の部分。ここが微妙に気になるなあ。

どう気になるんですか?

う~ん、狭心症(きょうしんしょう)の可能性がある。

きょ、きょうしんしょう? きょうしんしょうって何ですか?

心臓があるでしょ。その周りに冠動脈(かんどうみゃく)っていう動脈が3本あるのね。こっち側に2本、反対側に1本。その3本のどれかが詰まりかけているかもしれない。まだ詰まりかけだから狭心症。完全に詰まったら心筋梗塞(しんきんこうそく)。

完全に詰まってるわけじゃないんですね?

詰まってたらね。苦しくて、こうやってしゃべってられない。
ま、倒れてるね。

でも、今、バイクで日本一周中で、山へ登ったり、トレッキングしたり、けっこう動いてますけど、胸が痛くなったり、昼間に呼吸が苦しくなったりすることは一回もなかったんですけど、、、
呼吸が苦しくなったのは夜だけなんですよ。温めたらすぐ直ったし、、、

狭心症の場合ね、人によっていろいろなの。まったく何の自覚症状もない場合もあるし、歯が痛くなったり、肩が凝ったりね。
詰まっていると血液の通り道が狭くなってるでしょ。そこに何かがごく短時間だけ全部詰まって、すぐに流れて行ったりすることもあるわけ。夕べも、ちょっとの間だけ詰まって、そのときに呼吸が苦しくなったのかもしれない。

そ、そうなんですか。

まあ、今の段階では、あくまで可能性だけどね。
ただ、もしそうだったら、今、この瞬間に完全に詰まって心筋梗塞になる可能性もあるよ。

血液検査とエコーをやろう。それではっきりするよ。
それで何ともなければ安心でしょ?

はい。そうですね。

1610ごろ
三度目の診察開始。

(血液検査の結果を見せながら)はい、この項目、見て。
この項目の数値がこれだと、ほぼ間違いなく狭心症ですね。

ええっ、そうなんですか。

うん。
心臓がダメージを受けてると、この項目の数値に現れるの。ダメージを受けたときにこの成分が分泌されるわけ。
夕べ、呼吸が苦しかったって言ったでしょ。そのときに心臓がダメージを受けた可能性があるね。

エコーで見た心臓の動きもね、このあたりが少し動きが鈍いかな。ほんのちょっとだけどね。

心臓がダメージを受けるとね、ダメージを受けた部分の筋肉は元には戻らないの。今はまだ比較的軽いダメージだと思うけど、もう一度夕べと同じことが起きたらもっと大きなダメージになるかもしれない。万が一、心筋梗塞になったら大きなダメージになるよ。

そうなんですか、、、
どうすればいいですか?

カテーテルを入れて精密検査をした方がいいな。
万が一のことを考えると、ここよりも鹿児島の病院のほうがいいな。
今日、鹿児島に戻れる?

きょ、きょうですか? もうフェリーもないし、ちょっと、、、

そう。じゃあ、明日のフェリーで戻って、すぐ病院に行って。
今からその病院に電話しておくから、ちょっと診察室の外で待ってて。

はい。わかりました。

まいったなぁ。狭心症かぁ、、、
明日からの屋久島歩き、アウトかぁ、、、
でも、ま、精密検査の結果、詰まってませんでしたぁ~、っていう可能性もゼロではないし、、、

と、先生が鹿児島の病院と電話している声が漏れ聞こえてくる。

はい、はい。う~ん、そうですか。
ドクターヘリで、、、
はい、わかりました。説得してみます、、、

ドクターヘリ? 説得してみます?
えっ、オレ、これから説得されるの?

1630ごろ
診察室のドアが開く。
はい、入ってきて。
あのね。ドクターヘリですぐ来た方がいいって。
万が一、今夜、宿で寝てるときにまた起こるかもしれないし。今度は完全に詰まって心筋梗塞になるかもしれないしね。まあ、可能性は低いと思うけど、絶対にない、とは言い切れないからね。
どうする?

(ドクターヘリとは、急に大げさなことになったなあ、、、)
ちょ、ちょっと考えさせてください。

いやいや、考えてる時間はないよ。暗くなるとヘリは飛ばないから。
今すぐに決めないと間に合わないよ。

(はぁ~、確かにこれ以上の心臓へのダメージは避けたいし、、、日本一周中止なんてことになったら最悪だし、、、昼過ぎに屋久島に着いたと思ったら夕方には鹿児島にトンボ帰りかぁ~)
わかりました。じゃあ、お願いします。

よし、じゃあ、すぐに準備して。必要最小限のものだけ持って。
準備ができたらベッドに寝て。ヘリが来るまでの間に運ぶ準備するから。

1650ごろ
荷物準備完了。
救急ベッドへ。
点滴開始。

1720ごろ
ドクターヘリ到着まであと5分、との連絡あり。
治療室からヘリポートまで救急車で搬送される。5分ほど。
そのままドクターヘリに運び込まれる。

ドクターヘリを見たかったが、頭を上げるのが難しい。上を向いたまま視線の片隅でローターの一部と機体上部をわずかに捉えたのみ。

記憶に基づく再現図。
機体の上部が白、下部がピンクだったのは鮮明に覚えている。

1730ごろ
防音イヤーパッド装着。
ドクターヘリ離陸。

1800ごろ
ドクターヘリ、鹿児島到着。ヘリポートから救急車で病院へ。

1815ごろ
病院到着、カテーテル処置室へ。
カテーテル検査&手術の準備開始。
家族への連絡、処置内容の説明、同意書などなど。

先生が妻と電話で話している声が聞こえる。

今すぐ来られませんか、、、
今すぐは無理ですか、、、もう飛行機がない?、、、
、、、数%もありませんが、、、万が一ということが絶対ない、とは言いきれません、、、
、、、では、処置に同意していただいたということで、、、

1930ごろ
処置開始。
局部麻酔注射。足の付け根に打つやつが猛烈に痛い。
麻酔注射が痛くなくなる麻酔を先にやってほしい!
カテーテルを右足の付け根と右手首の2カ所から入れる。
まずは冠動脈の詰まりを検査。
2本はきれいだが、1本は90%以上詰まっているとのこと。
詰まっている箇所にステントという網状のチューブを挿入。

処置中、先生たちの話し声が聞こえる。
余裕たっぷり。たくさんの症例をこなしている感じ。
最初は緊張していたが、だんだん安心してきた。

気が緩んだのだろう、ふと大きな呼吸をしたとたん、、、

あっ! 今、大きな呼吸したね。
いまデリケートな作業中だからねぇ、、、らく~に、ゆっ~くり呼吸して~、、、
返事はしなくていいよ~、、、声は出さないでね~、、、
もうちょっとだからねぇ~

2030ごろ
よしよし、よし。いい感じだね。
ハイ、オッケー、終了!

という感じで、手術完了。
ICU(Intensive Care Unit : 集中治療室)に移動。

こうして激動の1日は終わった。

心臓にどれだけのダメージがあったのか?
はたして日本一周はいつから再開できるのか?
そもそも日本一周、継続できるよね?

不安は尽きないが、まずは命が助かったことに感謝しよう。

屋久島の先生、鹿児島の先生がた、看護師や技師のみなさん、ドクターヘリの救助隊とパイロットの方々、本当にありがとうございました。

【本日の宿】
鹿児島の病院(相棒バイクは屋久島の病院)
※バイクをお預かりいただきありがとうございます。何から何まで感謝です。

【本日のデータ】
鹿児島←→屋久島:フェリーで4時間、ヘリで30分

2019/7/22 (前編)屋久島へ渡る(D192_1)

※あいかわらずスパムコメントが猛烈なため、コメント不可にしました。たいへん残念なのですが、ご了承ください。

今週は天気が回復しそうだ。いよいよ屋久島を歩けるぞ。

0650
フェリー乗場到着。乗船手続き。

これから乗るフェリー屋久島2をバックに記念撮影。

0730
乗船

0830
出航

桜島雲に覆われるをバックに記念撮影。外国人のお兄さんと撮りっこしたやつ。

鹿児島湾を抜ける。

青空が広がってきた。嬉しい。ずっと曇&雨だったので青空が身に染みる。

フェリーに展示されていたウミガメの赤ちゃん。
超かわいい~~~~~
5匹ほどいて、水槽の中を元気に泳ぎ回っていた。

1230
屋久島宮之浦港到着。

島の上は雲で覆われている。屋久島らしい風景。

まずは情報取集だ。

1250
港から2~3分走り、屋久島環境文化村センターに到着。
通常は月曜日は休館日だが、夏休み中は休館日なしとのこと。

まず、館内にある観光案内所で情報収集。
マップをいただいたり、一般車通行禁止区間のバスチケットを買ったり。

チケットを買い、センターの展示室に入る。

屋久島の立体模型。

白骨樹。台風の強風などによって樹皮が剥がれ、白くなった樹木。

樹齢857年の杉。年輪の緻密さがすごい。

「ヤクシマ」表記のいろいろ。こんなにあるとは知らなかった。面白い。

シアターで映像も上映され、これもなかなか良かった。

1410
さて、今日の宿泊地、安房に向かおう。
途中で寄るところもあるし。

と、向かった先で、予想もしない展開が待っていた、、、(後編に続く)

【本日のデータ(前編)】
フェーリー料金:片道 大人2等 5000円、二輪125cc以下 1800円
屋久島環境文化村センター:入場料 520円

2019/7/21 鹿児島市の天文館をブラブラ(D191)

朝から雨だ。ザアザア降り。
チェックアウトの10時を過ぎても降りやまない。

しばらく様子をみよう。

記念に宿のご主人のホンダ モンキー125と相棒バイクとツーショットを撮影。

1100
しかたない、でかけよう。
レインウェアを着て、ゴム手袋をはめる。

たいへんお世話になりましたぁ~。
ご主人にお礼を言い、雨の中を走り出す。

霧島市から鹿児島市まで約30km、1時間。

雨の中の走行はいつも緊張する。
速度は40~50Kmに抑え、車間距離をとって走る。
ブレーキは後輪から先にジワッとかけ、滑らないよう細心の注意をはらう。

鹿児島市内に入ったあたりの左カーブで、対向車線を走って来た若いお兄さんスクーターバイクがズルっとすべって目の前で転倒!

思わず、

あぅ!

と叫んでしまった。

すぐ後ろから後続車は来るし、停車できそうなところもないので、そのまま走り続けた。
まあ、後ろの車は減速してたし、転倒後に滑って進む方向(カーブの外側)には空間があったし、お兄さんは若そうだし、たいした怪我にはならないだろう。
お兄さん、雨の日はあんまり飛ばすなよ。

1210
フェリー乗場に到着。明日の手続き場所、手続き時刻、運行状況などを確認。
0830出航だが、0700までに手続きを終える必要があるとのこと。
0800ごろまでに来ればいいだろうと思っていた。確認しに来てよかった。

1230
天文館公園近くの宿に到着。
チェックインまでには時間があるので、バイクを駐輪場に置き、昼食に。
雨はだいぶ小降りになった。

レトロなデザインの飲み屋さん。17時開店。

緑のアーケードと少女像のある小道。

昼食は牛カツ定食。

レア&ピンク色に揚げられた和牛とアンガス牛。
ワサビと岩塩の組み合わせが美味しかった。
醤油やソースもそれなりに美味しいが、岩塩が一番肉の味が感じられた。

1400
天文館通りに向かう。

路面電車が走るいづろ通りを越えると天文館本通り。
アーケード上部の「天文館」と書かれた下のマークが面白い。空飛ぶ円盤っぽい。

アーケード入り口の路面に埋め込まれたマーク。空飛ぶ円盤っぽい。

天文館跡の碑。
島津25代 重豪(しげひで)が天体観測や研究のために作ったのが(通称)天文館。当時の名称は明時館。時を明らかにする館。いいね!
天体観測によって正確な時刻を定めることが目的だったわけだ。

碑の近くにある島津重豪(しまづしげひで)の像(立っているほう)

造士館、医学院、明時館(天文館)を設置した、とある。
ひ孫が、あの島津斉彬(しまづ なりあきら)。
重豪は、明治の産業革命のおおもとを築いた人と言える。

ふと見ると、宇宙情報館! いいね! 鹿児島県には種子島もあるしね。
面白そう。行ってみよう!

えぇっ! ガア~ン、、、
平成27年3月で終わっちゃったのか(T_T)
閉館は残念だったが、ま、天文館跡の碑を確認できたので良しとしよう。

1530
宿へ戻る。

【本日の宿】
天文館公園付近。屋根のある駐輪場! 助かる。

【本日のデータ】
雨の日はバイクはゆっくり走ろう。飛ばすと転ぶ。

【本日の感想】
島津家は代々がとても先進的。
明治維新の力の源泉が理解できた気がする。