6月17日(日)15日め 1964年台ホンダのエンスーに出会う!

「昨日おじゃました者です」と、お店を入る。

「どうぞどうぞ」と快く迎えていただく。

ずいぶんマニアックな店ですね。最近お始めになったみたいですが、どうしてこういうお店を?

今、57歳だけど、若いときからずっと好きでね。最近、車がいろいろ集まってきたんで、お店を開いて世の中に還元しようかなと。そのS600は初期型のやつで、希少だね。

ヘッドランプの前にドーム型のカバーが付いてるだろ。展示車にはプラッチックのものを付けてあるけど本物はガラス製。こっちに仕舞ってある。もし割れたら代わりがないから。

確かにドーム型だ。昔のホンダはずいぶん凝った製品を出していたものだ。説明書きもマニアックだ。

パーツ類はこのケースの中。欲しいものを言ってくれればだいたいあるよ。

メーターやエンジンなどいろいろある。きっとレアなものなのだろうが、よくわからないのが残念だ。

どうやってレストアするんですか? 作業場を見せていただけませんか? と言って案内していただいたのがこれ ↓

レストア中のS600クーペが鎮座していた。

さっき店の前にもS600クーペを積んだトラックがありましたね。全体が真っ赤に錆びていましたが、磨くとこうなるんですか?

そう。あれは製造番号が100以下の試作品。最初に見たとき試作品だとピンと来た。

へえ〜。どうしてちょっと見ただけでわかるんですか?

うん、まあな。たとえば、水受け(家の雨樋の部分)の後ろの部分な、これはずっと下まであるだろ。試作品は上側だけで下までは無いんだ。

なるほど! ずいぶん細かい違いを見分けるんですねぇ〜。

あそこのボディは、本田宗一郎の息子がレースで使った車のボディ。レースでは専用のFRP製のボディを使うから、元のボディは外してしまう。そのボディがこれ。

そうなんですか! よく入手しましたねぇ。こっちのは左ハンドルじゃないですか。この当時、輸出用なんて少ないんじやないですか?

うん、少ないね。ヨーロッパの展示会に出したやつだと思う。

これらのエンジンもレストアして元のボディと組み合わせるんですか?

状態によるな。それ、ベンチマーク用の装置。エンジンだけで始動して確認できる。全部バラすこともあれば、ちょっといじればいいときもある。

う〜ん、なるほど。この技術はどうやって身につけたんですか。前のお仕事は何だったんですか?

ああ、これは趣味でやってる。これで飯が食えればいいが、それは難しいから。展示車のS600な、438万は高いと思うだろうけど、掛けた手間ひま考えたらビジネスとしては全然ペイしない。普段は福島市で自動車修理会社を経営してる。オレで三代目。こっちは会社が休みの土日だけやってる。だから最近はずっと休みなしだ。

どおりで! いろいろな点がそれで納得。小さい頃からお父さんの仕事を見てきて、1964年にS600が発売されたときも、周りの大人たちが興奮気味に騒いでいる中にいたのだろう。

環境が人を造ると言う。それでも、子供のころの憧れをずっと大切に持ち続け、具体的なカタチにし続ける人は少ない。こういうのっていいですね。

一台欲しくなったが、箪笥のこともあるし、これからどんなモノと出会うかわからないし、破産しそうなので残念だがやめておくことにしよう。

例によって記念撮影。ちょうど立ち寄った知人の方に撮影をお願いした。

二人と二台の2×2ショットだ。

撮影のお礼に知人とその愛車のツーショットも載せておきます。

こちらはトヨタ・スポーツ800。販売は1965年~1969年。S600の良きライバルだ。きっとこのようなお友だちがたくさんいるんでしょうね。

エンジョイ、グッドカーライフ👍

6月16日(土)14日め (予告編)1964年台ホンダのエンスーに出会う!

二本松の鈴木木工所から福島市の宿に向かう途中でホンダS600が目に飛び込んできた。だいぶ通り過ぎてから、どうしても気になるのでUターンしてそこに向かう。

福山雅治じゃないが、「非常に面白い!」

まさに1964年代ホンダのエンスー※ のお店だ! ネーミングもいい。店内の赤い車がS600だ。

ナンバープレート下2桁の「64」に気づいた人。あなたはとても鋭い。その通り「・・64」です。

入り口に貼られた説明が非常に興味深い。下の写真をタップすると大きく表示されるので、ぜひお読みください。どんな人がやっているのか、ワクワクしますね。

1日に2つのインタビューは辛いので、今日は挨拶だけにして、明日来ることにしよう。

ということで予告編はここまで。次々に面白い人たちが多すぎて、書くのが追い付かない! と嬉しい悲鳴(笑)

※エンスー:エンスージアスト(enthusiast 熱狂的な支持者)の略。車の世界で用いられることが多い。1980年代には、IT業界でも用いられていたようだが、最近は聞いたことがない。私は多くのアップルコンピューター(現在はアップル)の エンスー&元エンスーを知っている(笑)