7月23日(月)51日め 羅臼で海と山の露天風呂!

羅臼には海の中に露天風呂がある、というので行ってみる。朝から露天風呂、というのも乙である。

羅臼町から半島の先端に向かって22km、30~40分走るとそこに着く。

瀬石温泉(セセキ温泉)だ。

写真右下に見えるのが露天風呂。確かに海の中だ。

鈴木なにがしの句碑がある。

露天風呂に秋めく浪のささと寄す

今は夏だが、まあ「夏めく浪のドウと寄す」とでもすればよかろう。

これが入り口。個人所有の温泉なので声をかけるのが礼儀だ。

付近の家を探したが誰もいない。出かけているのだろうから勝手に入ることにしよう。所有者が来たら事情を話せばいいだろう。

ということで家の陰で服を脱ぐ。もちろん全裸だ。プールではない。

木の階段で海岸に降りる。

岩風呂の向こうに遠くうっすらと国後が見える。

アップで ↓

振り返って道路側を見上げる。

遮るものは何もない。

この環境の露天風呂に入れるのは、羞恥心を無くした者だけが持つ特権だ。

入っているところを専属カメラマンが撮影してくれた。

潮が満ちてくると湯船が水没する。この時期は、干潮が午前6時ごろ、満潮が午後6時ごろ。今12時少し前なので半分ほど満ちたところか。

まだ湯船に海水は入り込んでおらず、下から湧き出た源泉だけで満たされているようだ。ちょうどよい湯加減。

最後まで所有者とお会いできなかったのが残念。

お風呂を使わせていただき、ありがとうございました。とてもいいお湯でした。

せっかくここまで来たのだから半島の先端に向けて行けるところまで行ってみる。

途中の相泊(あいどまり)温泉でスーパーカブで旅する人と出会う。20分ほどカブ談義。

この相泊温泉も海岸にあるのだが、小屋が作ってあり、外からは見えない。瀬石温泉ではなく、こちらに入る人が多い様子。みな羞恥心があるらしい。

例によって記念撮影。

そのあと少し走るとすぐ終点。

相棒はちょっと走り足りない様子だ。ま、引き返そう。

引き返す途中で昆布が海岸に干してあるのが目に留まる。

近くにいた生産者の方に声をかける。

すごいですねぇ。海にたくさんブイがありますけど、あの下にロープが下がっていて昆布が生えているんですか?

下に下がってんじゃないの。ブイとブイがロープで横に繋がっていて、そのロープに昆布が付いてんの。

最初はね。この細いロープで株を作るの。

仕事を中断して丁寧に説明をしてくれる。すごく親切なのでビックリ。

最初はね、こっちの細いロープで株を作るんだ。

これで1年かけて株を作ったら、太いほうでもう1年育てるの。昆布の養殖には2年かかるわけさ。

天然ものを獲りにいくのはこの船。小さくシンプル。

こいつを使って獲る。

こっち側が手で持つほう。

こっち側が昆布の根元に絡めるほう。先端。これを垂直に海の中にず~っと沈めて行くわけさ。深いときはパイプを継ぎ足すわけ。深さが10mぐらいになるときもあるよ。それで先端を昆布の根元に絡めて、手にもっているほうをグリっと回して絡めとるわけ。

うわっ、考えただけでもたいへんな作業ですね。

こっちへおいで。伸ばすところを見せてあげる。

と、向かったのがここ。この中にいろいろ設備があるようだ。

ここが乾燥室。ほら、中を見ていいよ。

すごい! 昆布で部屋が埋まっている。

どのくらいの時間乾燥させるんですか。

夜干して、次の日の朝まで。朝5時ごろ起きて準備して7時ごろから昆布を外して、そのあと昆布獲りに出て、夕方から夜は獲って来た昆布を広げて乾燥室に入れて、寝るのは夜2時ごろだ。ほとんど寝る間がないな。それが昆布の時期が終る11月末まで続くんだよ。たいへんだよ。

う~ん、たいへんな生活ですね。

こっちへおいで。平らに伸ばすところを見せてやるよ。

中では女性二人が昆布を機械に入れていた。これで平らに伸ばすのだ。この人が(たぶん)奥さん。

こちらの人が(たぶん)お母さん。一家総出だ(と思う)。

こっちは、養殖。

奥さんとおぼしき女性も親切に説明してくれる。

で、天然物がこっち。

ホントだ。パッと見て、全然違う! 大きいし、色が濃いし。立派だ。

天然物はこの下。

わざわざ重しをどけて板をめくってくれる。ほら、こうやって重ねて伸ばすわけ。

うわ、すごい。こうやるんですね。

ご丁寧にいろいろ教えていただき、ありがとうございました。仕事中にすみませんでした。

ほら、これをやるよ。小さくちぎって噛んでもいいし、出汁を取ってもいいし。

うわ、ありがとうございます。遠慮なくいただきます。

ということで、いただいたのがこれ。手のひら2つ分ぐらいある。

出発しようとすると、女性二人が干してあった昆布を片付けていた。

「いろいろありがとうございましたあ!」3人に聞こえるように大きな声でお礼を言って出発した。

う~ん、たいへんな仕事だ。

漂うブイを見る目がさっきまでとは少し変わった気がする。

さて、次は山の露天風呂に入らねば。

羅臼からウトロ方面に少し走ると熊の湯がある。

付近にクマが出没したから熊の湯。

いで湯橋。これを渡る。

渓流。さわやかだ。

渡り終わると、渓流に沿って少し下る。

まず女湯。建物に沿って進むと、、、

おおっ。おおらかな風景。まさに自然の中のお風呂だ。

着替え部屋。

熊の湯入浴十ヵ条。

4つめが面白い。「(例えば十人いるとして)二、三人が熱いと言ってもその人達には従わなくてもよろしいです」 多数決で決めてね、と。

ということで、ここでも記念撮影。着替えが終った人にお願いして撮っていただいた。

すぐ後ろの赤い管から熱い温泉が出ている。熱いのを我慢しているので腰が浮き気味。肩まで浸かれない。熱いのを我慢したせいか、少し健康になった気がする。

さて、今日はウトロ泊。これから半島を横断しなければ。明日は知床五湖散策に再挑戦するのだ。

知床峠は今日も霧。2日連続だ。

霧に包まれた公衆トイレ。黄色の貼り紙が気になる。

本当にヒグマが多いんですねぇ。

こちらは外国人向け。

少し走ると、霧で濡れそぼったキツネが、、、

バイクを停めて写真を撮っていると、トコトコとこちらにやってくる。

何ももらえそうもないのがわかったのか、悲しそうな目つきで草むらに消えていった。

【本日のデータ】

瀬石温泉:混浴。無料。朝~お昼ごろまでがおススメ。所有者がいたら声をかけること。

熊の湯:女湯は女性のみ。もう一方は混浴。ほとんど男性だけが入っているが、女性も歓迎。無料。

7月22日(日)50日め 知床五湖でクマに遭遇!?

網走から知床半島に向かう。知床五湖を回りたい。

途中で小清水原生花園に立ち寄る。

ハマナス。

向こうに見えるのはトウフツ湖(濤沸湖)

ちょうど、1日に上下線合わせて11本という電車がやって来た。釧網本線(せんもうほんせん)。網走駅と東釧路駅を結ぶ。ずっと赤字なので存廃が検討されているようだ。

昨日と似た風景が続く。

知床五湖フィールドハウスに着く。

現在の知床五湖はガイドツアーに参加しないと五湖すべてを回ることはできない。ヒグマが多く危険だからだ。ということでガイドツアーに参加する。

ツアーの前に10分間ほどのレクチャーがある。上は、最近いつどこにヒグマが出たかを説明するガイドさん。ホワイトボードに小さく描かれたクマの顔がヒグマ発見場所。ほぼ全域に顔が描かれている。

レクチャーを終え、さて出発というときに、中止の連絡が。一つ前のグループがヒグマに遭遇したらしい。今日のツアーはすべて中止になった。

残念!

外に出てみると、ツアー中止の黄色い張り紙が  ↓

せっかくなのでガイドさんと記念撮影。

高架木道を歩けば一湖までは行ける。行ってみよう。

(注)5つの湖それぞれの名前は、単純に、一湖、二湖、三湖、四湖、五湖という。

入り口の案内板。オレンジの線がヒグマの出没に関係なく歩けるところ。一湖まで続いている。

高架木道の脇に貼られた電線。常に電流が流れており、ヒグマが木道に上がらないようにしている。

反対側にも。

終点の一湖まで歩く。

終点にある一方通行出口。ガイドツアー参加者は、五湖→四湖→三湖→二湖→一湖と回るので、最後にここに来て、向こう側からこちら側に入ってくるのだ。

一湖を望む。

さて、引き返そう。

歩いてきた木道がずっと先まで伸びている。

引き返す途中で何やら人々が騒いでいる。ヒグマがいるらしい。

じっと目を凝らすと、、、いた!

耳が見えなければ岩と区別がつかない。一瞬見えたと思ったら、すぐに見えなくなった。

しばらくヒグマを探すと、、、いた!

はっきりと姿が見えた。大きい。

親子連れで三頭いたのだが、一番大きいのでお父さんだろう。

ガイドツアーは中止になったが野生のヒグマが見られたので、これはこれで良しとしよう。

【本日のデータ】

5月~7月はヒグマの活動期。5つの湖すべて回るにはガイドツアー参加が必須。

7月21日(土)49日め 雨の中、紋別から網走へ

朝から雨。

でも、網走へ行かねば。宿は予約してあるし、知床へ行くには先に進まないと。

井上陽水の「傘がない」を歌いながら、雨の中を黙々と走る。

♪ だけども、問題は、今日の雨。
♪ 傘がない。
♪ 行かなくちゃ。君に逢いに行かなくちゃ。君の町に行かなくちゃ。
♪ 雨に濡れ~

♪ 行かなくちゃ。ウトロの町に行かなくちゃ。羅臼の町にも行かなくちゃ。
♪ 雨に濡れ~

というわけで、写真は1枚も撮れず。ひたすら走った1日です。

【今日のデータ】

雨の北海道はムチャクチャ寒い。

装備(上半身):
肌着
登山用半袖シャツ
登山用長袖シャツ(冬用)
登山用セーター(カシミア)
登山用ダウンジャケット
バイク用ジャケット
登山用ウィンドブレーカー
登山用レインウェア

計8枚、これでも寒くて凍えそうだった。