9月17日(月)95日め 大地の芸術祭(2)清津峡渓谷トンネル

大地の芸術祭の正式名称は「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。
その参加作品に「清津峡渓谷トンネル」がある。

えっ、渓谷じゃなくてトンネルが芸術祭参加作品?
意味わからん。

でも何だか面白そうな予感。今日はこれを最優先でみよう。

宿から1時間ほど走り、清津峡渓谷入り口に着く。

左に見える白い建物が、昨日ブログに書いた「磯辺行久記念 越後妻有清津倉庫美術館(通称SoKo/ソーコ)」。旧清津峡小学校の体育館をリニューアルしている。

駐車場に相棒バイクを停め、徒歩で清津峡に向かう。

休日だけあって家族連れが多い。車・バイクは通れない。

途中の掲示板。トンネルに入る料金800円。ただし芸術祭期間中料金。

ということは待てよ、今日、芸術祭は終わる。明日は無料になる???
ついついセコイ考えが頭をよぎる。

まあ、せっかく来たのだから行ってみよう。

200mほどで入り口。

トンネル入り口。芸術祭参加作品「N-080ライトケーブ」
※Light Cave 光の洞窟

入り口全体。壁に何か書かれている。

デザインされた案内表示。

料金、営業時間、現在位置

マップの真ん中。全長 約750m、所要時間 約40分~60分。

マップの右端。見晴所が3つあり、最後にパノラマステーションがある。パノラマステーションって?

とにかく行ってみよう。

チケット売り場(常設)。通常料金600円。芸術祭中800円。200円の差は当然。

いよいよトンネル内に進む。照明はグリーン。

休憩&展示スペース。

清津峡形成の歴史。

清津峡とトンネルとの位置関係など。

清津峡の地層学的特徴。六角形の柱状節理がメイン。

先に進もう。第一見晴所まで325m。

2つめの休憩&展示スペース。証明がオレンジに変わる。

清津峡地形模型。

第一見晴台まで225m。

シャッター扉が2つ並ぶ。何だろう?

トンネル工事の際にここから温泉が出たらしい。

証明が赤に変わる。

第一見晴台に着く。左手。

進むと外が見える。

観光客が多い。芸術祭最終日だから?

柱状節理。傾き加減が面白い。

流れの上に柱状節理の断面が見える。なかなか見られない風景。

第二見晴所まで60m。

第二見晴所に着く。あの銀色のドームはなに?

通路の真ん中にドンとある。不思議な光景。

トイレだった。小さくトイレマークが見える。

外の風景。

第三見晴所まで60m。

第三見晴所。不思議な光景。

照明カバーに外の風景が映る。

左が映った風景。右が本物。面白い仕掛けだ。

パノラマステーションまで200m。

照明が青に変わる。

パノラマステーション到着。撮影する観光客でいっぱい。

床の水に人の姿が映る。壁際を進む人たち。

進み方の説明。小さくて気づきにくい。デザイン優先の弊害。

床に薄く水が張られている。水鏡(みずかがみ)。転落防止柵は透明な素材。

正面の風景。

円形の風景。素晴らしい!

デザイナーは誰だ? マ・ヤンソン。中国出身の建築家。まったく知らないが、すごい発想をするデザイナーだと思う。

800円分は十分に堪能した。

さて戻るか。

行くときには気づかなかった絵のようなもの。何だろう?

ここにもある。壁には動物の絵。床には足跡。

ここにも。壁の絵と床の足跡。

これも演出? 手が込んでいる。すごい。気づくか気づかないかの微妙な存在感ラインを狙っている。このデザイナーすごい!

チケット売り場で、この話をする。

え? 動物の絵? あれはリニューアルする前のもので、壁に書いてあったんです。
完全に消し切れてないんです。すみません。

ガクッ! 勝手な思い込み。(私の場合は)よくあるケース。まあ、楽しめたから良しとしよう。

宿に向かう。

と、、、、、こんな看板が目に飛び込む。

うまい酒あります

おお、さすが新潟! 素晴らしい。

入り口。こういう雰囲気だと外れはなさそう。

入り口上の看板。いいね!

看板の説明。なるほど。

期待通り。無濾過+原酒+生酒。この三拍子が揃っているお酒が壁にびっしり。

こっちも。う~~~。素晴らしい。

自己制限金額より少し安い。いいね! で、これをゲット。

宿に着いてさっそく開封。遮光用新聞を剥がす。

鶴齢(かくれい)。

裏のラベル。山田錦100%、精米歩合65%、アルコール分17%。

なんてことはさておき。さっそく飲んでみる。

美味しい!!!!!!!!

飲みすぎたので寝ますぅ お休みなさい~

【本日の思索】

観光とは何か:「安全に」「非日常」に出会うこと。VRではない現地で。

美味しい日本酒とは何か:無濾過原酒生酒。これに尽きる。銘柄? そんなの関係ねぇ~ 精米歩合65%? 精米しすぎない(高級すぎない?)ほうが美味しい。
お米の味が感じられるから。

9月16日(日)94日め 大地の芸術祭(1)星峠の棚田&美人林&蛇モニュメント

大地の芸術祭が、新潟県 越後妻有(えちごつまり)で開催されている。越後妻有は、十日町、津南町あたり。

芸術祭は3年に一度。しかも、明日で終了。これは行くしかない。

宿を津南町から30km、1時間ほどの湯沢に確保。これで今日明日の2日間楽しめる。

長岡から、十日町まで50km、津南町まで60km。2時間弱で着くだろう。

よし、出発。

ずっと田んぼが続く。さすが新潟。

稲が倒れている。向こうは倒れていない。何が違うのだろう。品種か?

十日町市内に入る。

市街地を少し走ったところでハプニングが発生!!!

うわっ! 相棒バイクが車の横腹に激突、、、、、、、

な、なんと、車を跳ね上げ、下に潜り込んでしまった!!!

相棒も私も無傷だが、証拠写真は撮っておこう。で、撮ったのが上。

相棒、すごい。

、、、

なんてね。

芸術祭出品作品K-093 カードリフターズ。
タイヤの下に車体を支える支柱が埋め込まれているのだろう。

さて、芸術祭参加作品の一つ「星峠の棚田」に行こう。

この芸術祭には、祭のために作られた作品だけでなく、自然や建造物作品として参加している。そこが面白い。

十日町周辺には実にたくさんの棚田がある。

Googleマップの検索結果。

数ある棚田の中で星峠の棚田は美しいことで有名。最優先で見たい作品だ。

向かう途中の風景。少し山中に入れば、田んぼはみな棚田だ。
稲木干しを見ると、なぜか相棒バイクとのツーショットを撮りたくなる。

はんぱない美しさ 星峠の棚田 1.5km先 右折

わかりやすい表現、味のある文字、自然と調和するカラーリング、大きさ、設置位置、すべてがグッド。

棚田が続く山道を登る。

到着。相棒バイクを停め、徒歩で写真スポットに向かう。

撮影スポットの案内板。
周囲の多数の棚田を「越後松代棚田群」と呼ぶ。知らなかった。

メインの撮影スポットから。
手前の雑草もいい。あえて入れて撮る。美しさだけではないリアルな風景。

少し左手の撮影スポットから。
手前の青いのは野菜栽培ネット。
観光棚田と生活リアルネット。
観光写真はリアルを切り捨て、私は残す。
あなたはどっちが好き?

ハート形の田んぼ。大きすぎて入りきらない。こういうのも好き。

さらに左手に進んだところから。真ん中あたりは刈り入れが終っている。

見るからに作業しにくそうな田んぼ。やはり雑草が多い。

ほぼ雑草。刈り入れ後がたいへんそう。棚田は本当にたいへんだと思う。
観光客がどれだけ増えても、ここで稲作する農家の人たちの収入には全く関係がない。迷惑のタネが増えるだけだろう。

われわれ観光客は農家のみなさんへの感謝が足りない。

「美人林(びじんばやし)」が近い。
行ってみよう。どんな美人なのか楽しみ。

美人林に着く。

迫力満点。はい、注意します!
左手が林の入り口。

これが美人林。ブナ林。白神山地よりもずっと若い。

少し奥に入ったところ。スラっとして確かに美人だ。人間なら十七歳~二十二歳?

田んぼアートがあるというので20分ほど走って行ってみた。

ガクッ! これに往復40分もかけたとは。残念!

陽が傾き始めた。作品は多いが時間が限られている。
ぜひ見たい作品を優先しよう。

次の作品に向かう。

しばらく走ると、道路脇に大きな建造物が出現。

磯辺行久「土石流のモニュメント」
巨大だ。

駐車場の案内板。

モニュメントは砂防事業の一環として作られたものらしい。
山腹斜面崩壊があった際、大きな4つの円柱が土砂を防ぐということらしい。

駐車場に作られた共通チケット売り場。
この芸術祭では、美術館などの有料施設が会場になっている。共通チケット3500円を買うとすべての会場に入れるのでお得だということらしい。
ここはチケットなしでOK。

チケット売り場うしろの階段を登ると別のモニュメントが見られる。

チケットなしでOKなら、もちろん登る。

出た! 赤いシマヘビ。
じゃなくて、磯辺行久「サイフォン導水のモニュメント」

ここまで20km以上の長さの水力発電用の導水路(地下水路)が走っている。
その水路がこの地点で道路と川の下をくぐる。
くぐるためには水路をU字形に曲げないといけない。
U字の底まで下がった水を再び上げるためにサイフォンの原理を使っている。
モニュメントは、地下にあるそのような水路の存在を暗示するもの、だそう。

導水路の解説掲示。長さ21km、落差110m。建造当時は東洋一、とある。

係りのお兄さんとお話。

車の誘導、お疲れさまです。運営関係者ですか?

いや、ボランティア。土日に来ていろいろ手伝ってる。

そうなんですか。
いよいよ明日で終わりですね。ひと段落ですね。
あの土石流のは常設ですよね。
このヘビみたいなのも常設なんですか?

いや。明日、ソッコー片付ける。
この間の台風のときは、たいへんだったよ。
ビニール製で空洞だからさ。風に飛ばされて。
あの少し高くなってるところ、あそこから千切れちゃってさ。
直すのがたいへん、大仕事。
また、台風が来るって言ってるだろ。来る前に片付けなきゃ。

うわ、千切れたんですか。あれだけでかいと直すのたいへんでしょ。

メチャクチャたいへん。次の台風が来る前に終わるんで、よかったよ。

そうですよね。終わったら一安心ですね。

どこから? 川越か。遠いところからようこそ。気をつけて。

ありがとうございます。あと少し頑張ってください。

シマヘビにギリギリまで限り近づいてツーショット。

そろそろ陽が沈む。さあ、宿に向かおう。

しばらく走ると素晴らしい作品が、、、
それがこれ。

名付けて「廃屋(はいおく)のある空間」

白い壁、赤茶色の枠、裏の緑が見えるスクエアな窓、配置バランス。
後ろの木々と周囲の雑草。
素晴らしい廃屋と緑の空間とのコラボレーション!

これぞ芸術祭参加作品「廃屋のある空間」

3年後に出品します。
それまで壊さないでほしい。関係者のみなさん、よろしくお願いします。

【本日のデータ】
磯辺行久:アーティスト、環境設計プランナー(だと思う)。芸術祭はこの人の影響を強く受けている(と思う)。
磯辺行久記念 越後妻有清津倉庫美術館(通称SoKo/ソーコ)には、この人の作品が多数展示されている。

9月15日(土)93日め 金山遺跡を観る(2)大間港跡

雨がパラつく中、金山遺跡の最後のエリア、大間港跡に行く。

土木学会選奨土木遺産。初めて知った。

左端が大間地区。

解説に、明治20年から25年まで、5年間をかけて完成した、とある。当時は5年もかかったのだ。当時の最新技術「たたき工法」が用いられた、とある。今、どんな状態なのか、興味深々。

※たたき工法:消石灰と土砂を混ぜて水で練ったもの(コンクリートではない)と石積みを組み合わせる技術。

大間港周辺の詳細図。

大間火力発電所跡、トラス橋、クレーン台座、ローダー橋脚、防波堤(大)、防波堤(小)。見どころ満載。

火力発電所跡。外壁だけ。立入禁止の看板が目につく。
左下にリアカー(牽引方式の人力運搬車)。

火力発電所跡から海の方を見たところ。これがほぼ全体像。

リアカーの右手に下に降りる石段がある。

降り始め。上部中央の鉄骨がトラス橋。

トラス橋の解説には、鉱石をこの橋から下の小船に落下させて積み出した、とある。

階段を降りたところ。
あの鉄骨の下に小船が入ると、上から鉱石が落とされる。
合理的な設計。

防波堤(大)の上で若者が記念写真を撮りっこ中。こういう風景もいい。

たたき工法で造られた堤。なんとも美しい!

陸地側(発電所側)。石の配置と色の混ざり具合が絶妙!
これだけでも来た甲斐がある。

グルっと回り込んでトラス橋を観る。
手前にはガシッと挟んで運ぶやつ。名称不明。

トラス橋のアップ。傷みが激しい。早急な対策が必要では? 傷みすぎると世界遺産は難しい。

記念のツーショット。小雨なので色彩が冴えない。まあ、良しとしよう。自然には逆らえない。

ガシッと挟むやつ(名称不明)からクレーン台座を見る。
1つめは中央の大きいやつ。2つめは右側のやや遠いやつ。3つめは鉄骨の間から小さく見える左側のやつ。

台座の間にローダー橋脚が2つ見える。

ローダー橋は貨物を運ぶクレーンやトロッコが通った橋。
その橋脚だけが残っている。

近くで見たい。
海に突き出ているので、歩いて向かう。

取り壊された残骸がある。遺跡の一部のようだ。
何を壊したのか? なぜ壊したのか? 疑問が膨らむ。
世界遺産にしようとするなら壊しちゃだめでしょう。
しようとする前に壊しちゃったのか?

この微妙なチグハグ感。最初に大立竪坑を見たときからずっとある。
持ち主(企業)と行政がうまく嚙み合っていない感じ。

ローダー橋脚。3つが並ぶ。
橋脚だけ残して上の橋(鉄橋?)は壊したのか?

防波堤(大)。
たたき工法の石積みが美しい。
向こうには3つめの小さいクレーン台座。

この「(大)」「(小)」というのが笑える。
私なら「海側防波堤」「陸側防波堤」とか、機能がわかるネーミングにするけどなあ。

防波堤(大)の中央あたりから陸側を見る。クレーン台座とトラス橋。
台座の石積みが美しい。
たたき工法っていいですねぇ。

防波堤(大)の先端から陸側を見る。

右に見えるのが防波堤(小)。
向こうにトラス橋とクレーン台座。
が澄んでいて青い海底が見える。
絵になる風景。

とても狭い港だ。入れる船はかなり小さい。当時の規模が想像できる。

10時30分か。12時にフェリー乗り場に着けば、12:40のフェリーに乗れる。1時間半あれば行けるだろう。

よし、佐渡スカイライン経由で両津港まで突っ走ろう。

ルートはこう。☆が両津港。〇が大間港跡。

小雨がパラつく中、佐渡スカイラインを走る。思ったより急坂。路面が濡れているので滑りやすい。上りも下りも走りに集中。

景色はこんな感じ。快晴なら景色はいいはず。佐渡スカイラインの写真はこの1枚。

無事に両津港に着き、1240発フェリーで新潟に。

そこから70km、2時間ほど走り長岡の宿に到着。

【本日のデータ】
金山遺跡の5地区を堪能するなら最低2日。できれば3日を推奨。