2021/08/24 卯之町の伝建地区を散策(D306)

ここは、愛媛県(えひめけん)西予市(せいよし)宇和町(うわちょう)卯之町(うのまち)だ。
ふりがな無しでこの地名をすべて正しく発音できる人は少ないだろう。
「せいよ」か「にしの」か、「うわちょう」か「うわまち」か、「うのちょう」か「うのまち」か。
「愛知」は「あいち」で「愛媛」は「えひめ」、なぜ「姫」じゃなく「媛」と書く?

ニホンゴ、ムズカシイ。ムヅカシイ? ムツカシイ?

宿の近くがたまたま伝建地区(重要伝統的建造物群保存地区)だった。
知っていて宿を取ったわけではない。たまたまだ。
せっかくだから観て行こう。
(日本一周中は「観て」か「見て」か迷うことが多い。「観て」は「見物」だから、当事者意識なしで見る、ということになる。)

宿の近くの一般住宅。
電柱(電信柱かもしれない)に「中心街」の標識がある。
このあたりが卯之町の中心街なのか、と思いつつ歩く。
※電柱は電力会社の所有する柱、電信柱は通信会社の所有する柱。正確に使い分けるのは難しい。

木造三階建ての家。
これを建てたころ、木造三階建ては認可されていないはず。
どのように建築許可を取ったのか、不思議だ。

親亀の上に子亀を乗せて、子亀の上に~、という歌を思い出した。
何のためにこれを? 不思議だ。

同じ敷地内の向かいの家。
何のためにこれを? 不思議だ。

「旧武蔵」という建築物。
明治期に「武蔵(屋)」という屋号で商いをしていたから。
今は「昔のくらしを体験する」施設になっている。

大門(鳥居門)
江戸後期築。詳細未確認。

造り酒屋。(株)元見屋酒店。
「長期熟成(拾年以上)純米酒 開明」とある。
長期熟成の純米酒、あまり聞いたことがない。美味しいのだろうか?

文化の里休憩所。
建物の左右に「うだつ」がある。由緒ある建物か。詳細未確認。

松屋旅館。
江戸時代創業。

宿泊した有名人の名前を記した看板。
知っているのは新渡戸稲造(にとべ いなぞう)ぐらい。
「元国連事務総長」とあるが、確か「事務次長」だったと思う。
五千円紙幣の肖像とか、東京女子大の初代学長のほうが知っている人は多いはず。
あと、種田山頭火は知っていますが、友人までは知らないです。

旅館の向かいの小倉屋。詳細未確認。

看板がないので一般住宅か? だと目立ちすぎる色合い。詳細未確認。

アパートか? 案内マップには「飾り瓦」とだけ記載がある。

その飾り瓦がこれ。シンボルは大根。詳細未確認。

この建物にも飾り瓦が。

水滴か栗に見える。詳細未確認。

こんな飾り瓦も。大黒様はどこへ行っても人気です。

「うだつ」のある建物。左右の小さな屋根が付いている部分が「うだつ」です。
火災から守る防壁。お金がないと作れなかったので、「うだつがあがらない」と言われたらしい。

大正時代の煉瓦壁。向こうは末光家住宅。

末光家住宅。卯之町らしいデザインが残る町並みの代表的な町家。
と案内マップに書いてある。

開明学校。
明治15年築。擬洋風の小学校校舎。

おそらく一般住宅。詳細未確認。
雨漏りをどう直すか、職人さんと家主がご相談中。
そう、この手の家屋は設計ミスによる雨漏りが多く、根本的に直すのが難しいのだ。
職人さんは、根本的に直さないとすぐ雨漏りするよ、と言っている。
家主さんは、でもお金がかかるでしょ、と言っている。
ホントにたいへんですね。

さて、立ち聞きはやめて宿に向かおう。

École Mai Ballet
個人バレースクール。
町や建物とは異質な感じ。でもいいですね。何だかホッとする。

なぜホッとしたのか考えたら、どんどん息苦しくなっていたことに気づいた。

その理由は、以下の写真を見ていただければわかると思う。

老朽化したままの家々。
伝建地区でも修繕ができず放置に近い状態だ。
おそらく町に予算がないのだと思う。
観光客はお金を落とさず(私もそうだ)、税収は増えず、でも文化遺産の保存は重要だ。
国の助成金は微々たるもので、寄付する企業・個人もいない。
八方塞がり。残るのはクラウドファンディングか?
卯之町は悩みを抱える伝建地区の象徴かもしれない。
(この部分、あくまで個人の推測で未確認です。)

0930から始めて1100に終了。1時間半で回り終えた。

さて、次の目的地、宇和島に向かおう。

途中で立ち寄った法華津峠(ほけづとうげ)からの風景。
手前の海は法花津湾(ほけづわん)。
同じ「ほけづ」なのに「華」と「花」。地名は難しい。

午後は早めにチェックイン。
早くブログを書き終えて、宿泊計画を変更せねば。

宇和島城見学を組み込んでいなかった。
明日からの宿をすべて組み替えて日程をずらさねば。
今日中にキャンセルすれば、キャンセル料はギリギリセーフ。
頑張るぞ。

■本日のデータ
入場料が必要なところはすべて臨時休業。
伝建地区は外から観て回るだけならすべて無料。これが問題なのだが。

■本日の宿
宇和島駅の近く。

2021/08/23 昔の町並みが残る、内子・大洲を散策(D305)

今日は、内子(うちこ)と大洲(おおず)を散策して西予(にしよ)に向かう。
これらはみな昔の町並みが残るところだ。

内子の宿を出て少し走り、内子座(うちこざ)に着く。
大正5年に建てられた木造の劇場だ。

どこから見ても雰囲気があっていいですね。
老朽化で取り壊しになるところを市民の熱意で昭和60年に復元されたもの。
内子のみなさま、このような素晴らしい建築物を残していただき、ありがとうございます。

屋根の上にいる動物。何かをくわえている。正体不明。2匹いた。

中に入る。入場料400円。

おおっ。なぜかちょっと感激。昔の芝居小屋の雰囲気そのもの。

左側の席。二階席もある。

正面の二階席。大向(おおむこう)と呼ぶ。
大向には常連客や芝居通が多いので、この人たちを感心させるほどの出来ばえを「大向をうならせる」と言う。
とパンフレットに書いてあった。

階段の壁に掛けてある旗。祝に贈られたものか? 詳細不明。

花道(はなみち)を通り、舞台に向かう。

広い。
円形に切れ目があるのは、回り舞台になっているから。

回り舞台の切れ目から下を覗いてみた。
下の空間にライトが点灯している。

下の空間に行ってみた。

地下へ降りる階段。

この地下を「奈落(ならく)」という。昔は真っ暗で地獄のようだったから。

コンクリートの部分が回り舞台の中心を支える。
少し右手に棒が下がっている。円形に6本ほど。この棒を押して舞台を回す。

帰り際、気になっていたことを受付嬢に尋ねてみた。

あの~、ご存じでしたら教えてください。
屋根の上に動物がいますよね。あれは何ですか?

ああ、あれはね。キツネです。

なぜキツネが?

お稲荷さん信仰だから。ここを守っていただくためだと思います。

そうなのか。じゃあ、くわえているのは油揚げ。

ということで、改めて横から良く見たら、確かにキツネ様。
立派な尻尾もありました。

内子の町を相棒バイクでトコトコと見て回る。
道は狭く車も人もほとんど通らないので、歩く速さでゆっくり回れる。

商いと暮らし博物館。元薬屋さんの建物。

金看板が素晴らしい。

写真屋さん。3つの丸窓、旗印のようなデザインが印象的。

伊予銀行。白煉瓦のお洒落なデザイン。
明治・大正の銀行の建物にはいいデザインが多い。

伝建地区(重要伝統的建造物群保存地区)に入る。

白や薄黄色の建物が多い印象。白は漆喰、薄黄色は土壁らしい。

本芳我家(ほんはがけ)住宅。重要文化財。
際立って印象的な建物だ。

特に目に付いたのがこの部分。
二階の格子と一階の屋根の間、白い漆喰に並んでいる独特の飾り。
お洒落だ。

左手の大きな蔵と右手の建物の間には赤い扉。
全体として、とても独特だ。
少なからず圧倒される印象。

上芳我家(かみはがけ)住宅。重要文化財。
本芳我家から100mも離れていない。
このあたりは芳我家一族が力を広げていたようだ。

建物側面の4つの庇。存在感がすごい。

上芳我家敷地内の蔵。
すっとした女性のような美しい造りだ。

少し進むと酒屋さん。
ガラス窓の中に目を引くものが飾ってある。

古き良きオートバイ。
「葡萄酒倶楽部 SAWADA」の文字が光る。

DIAMOND FREE Patent Motor
これで走ったら楽しそう。
きちんと分解整備すれば動くのではないか。主要部品の錆び具合にもよるが。

あっと言う間に12時を過ぎた。先を急ごう。

20分ほど走り、大洲に着く。
大洲まちの駅 あさもやに相棒バイクを停め、徒歩で観て回る。

臥龍山荘(がりゅうさんそう)入口。

門を入り、建物を見上げる。石垣に組み込まれた樹木。
樹木が先にあったらしい。切らずにデザインとして組み込んだ。

入場料550円を払い、まず庭を見学。
雨が降り出したので、傘を借りる。

不老亭(ふろうてい)。
庭の先端にある。

かなり崖の外にせり出している。

家を支えるのは3本の丸柱。

中からの風景。
外を流れるのは肱川(ひじかわ)。

天井の造りが凝っている。

外廊下の真下まで肱川が迫る。

板の隙間から緑が見える。
古い木造なので突然グラっとこないだろうな、、、と頭をよぎる。
頭がクラクラしそうだ。

不老庵を出て臥龍院に向かう。

長い一枚岩が2枚。石まで凝っている。まさかコンクリート製じゃないよね。

臥龍院に入る。

中庭。

神棚。
白い欄間が洒落ている。透ける光が模様を作る。

脇の欄間。こちらも透ける光が模様を作る。

この欄間も洒落ている。透かし彫りなどは多いが、これは独特。センスがいい。

これも独特。鳥のような龍のような花のような。

天井と障子の間の小窓、センス抜群!
さらに驚くのは、内側からだと四角だが、、

外から見ると丸なのだ。

霞月の間(かげつのま)
襖は鼠色で薄暮を表現。汚れてるわけじゃない。
とパンフレットに書いてある。

コウモリ細工の引手。

わざと壁を塗り残して荒れた農家を表現している、とのこと。
でも、右側が直線的すぎる気がする。
まてよ。あえてか。自然に剥がれ落ちたわけじゃないよ、と。

3枚の棚板は「通し落とし掛け」という造り。
うしろの壁には接していない。掛軸がその証拠。
左右の壁に埋め込んだ部分だけで棚の自重を支えている。
左側は廊下なので、左手の壁は普通の厚さ。
右側は押し入れなので、右手の壁の厚さは不明。襖を開けて確認したかったのだが、触れちゃダメ、ということなので未確認。おそらく普通の厚さだろう。
壁の中にどんな構造が隠れているのだろうか。興味深い。

臥龍山荘は不老庵・臥龍院ともに思った以上に凝っていた。
愛媛に来たら立ち寄ることを強く推奨。他ではなかなか見られない。

他はどうかな、と思いつつ、ポコペン横丁に向かう。
う~ん、この名前ではあまり期待できないが、、、

昭和レトロのそれっぽいものを集めた広場。
これといったものはない。

ちょっと珍しいかったのは本当の原動機付自転車。
エンジンとペダルの両方がついている。荷台にはガソリンタンク。
ペダルを漕いで走り出すとエンジンがかかるという仕組み。

ポスターには面白いものがあった。

焼き鳥大ちゃん堂 伊予国・大洲 まぼろし探偵団本舗

とぼけたユーモアがいいですね。

万国百貨大盤振舞(おおばんぶるまい)
少年マンボ
品質優良モダン玩具 文化的駄菓子屋
まぼろし探偵団本舗

少年マンボって何だろう?

ある時はポンまめ屋
ある時は綿菓子屋
またあるときは
お堅いお役人
しかして
その実態は
いりまへん課の
ナゾのおっちゃん達

伊予国・大洲
いりまへん課
まぼろし探偵団本舗

いりまへん課って何だろう?
そもそも、まぼろし探偵団本舗ってどんな商売をしているの?
ナゾは謎を呼ぶ。

夢屋 アンティック&レトロ
天使が乗るのはベアリングか? 手に持つのは何? こちらも謎だ。

思ひ出倉庫という施設に入る。入場料200円。

昭和レトロの収集物が所狭しと並ぶ。ブラウン管テレビに映像がずっと流れていた。

昭和の散髪屋さん。うちの親も散髪屋だったので懐かしい。

最上部に「CACHREGISTER」の文字。手動式のレジです。
「親切勤勉」の文字が泣かせる。レジ係はこれを見て初心に帰り続けます。

本町陸閘(りくこう)
肱川(ひじかわ) との間の堤防を分断する通路。

肱川が増水したときはこの扉を左右から閉めて、、、

このネジでしっかりと締めつける。これで水は入ってこない。

肘川の方から見る。石垣+土塀風のガッチリとした堤防が続く。
こんなに見事な堤防は珍しいのでは。
観光案内の冊子に記載がないのはもったいない。

おおず赤煉瓦館。

元は大洲商業銀行。
「資本金六十万円 積立金二十万円」の表示が面白い。

内部はいくつかの部屋にわかれている。
それぞれに鉄の扉があるのが銀行らしい。守りが厳重。

ある部屋に掛けてあったオードリーヘップバーンの写真。
なぜここに? 意図不明。写真より額縁が大きすぎるのも残念。
でもヘップバーンは好きだから、よしとしよう。

大洲まちの駅に向かう。

老朽化した木造家屋。瓦などの落下防止に網がかけてある。
「古い町並み」タイプの観光地が抱える悩みがここに凝縮されている。
蔵造りや煉瓦造りならましだが、木造の場合はとても深刻だ。
保存・修繕コストをどう捻出・回収するのか。簡単に答えは出ない。

大洲城。
中に入る時間がないので、見上げるだけにした。
雲が、風雲大洲城! の雰囲気でグッドだ。

■今日のヒット賞

ぴちぴちと張りきった健康な若肌こそ初夏の魅力です

まったく同感。

■本日のデータ
内子座:入場料400円。安い。
臥龍山荘:入場料550円。安い。
ポコペン横丁:入場無料。ポスターが面白かったので50円ぐらい払ってもよい。
思ひ出倉庫:入場料200円。妥当。
おおず赤煉瓦倉庫:入場無料。妥当。一部が売店になっている。

■本日の宿
愛媛県西予市(せいよし)宇和町(うわちょう)卯之町(うのまち)
まちなみ広場付近のビジネスホテル

2021/08/22 焼物の町、砥部を散策(D304)

松山を出発。砥部(とべ)に向かう。
砥部は焼物の町だ。町の中にも焼物のアートがある。どんなものか楽しみだ。

砥部焼陶芸館トイレの壁。

手洗い。
男性用なので女性用はどのような絵柄かわからない。

入口の床。

いろいろな公共施設に陶器アートがある。

中央公民館の友愛の像。
う~ん、イチャついている男女にしか見えない(笑)

中央公民館フリースペース。
焼物の壁画と後ろのグリーンのコントラストがいい。

砥部町庁舎に四季山水陶壁画があるというので行ってみる。

今日は日曜日だった。
説明に従って、右側に回り込む。

ガラス越しに撮ってみた。
外の光がガラスに反射するので、中が見えない。
手元にあったパンフレットで光を遮りながら撮影したのがこれ ↑

砥部町陶街道ゆとり公園に陶壁画があるというので行ってみる。

う~ん、、、何これ、、、

う~ん、、、
チープ(あくまで個人の感想です)

とべ温泉 湯砥里館(ゆとりかん)が近い。壁画もあるとの情報。

ここもコロナ禍で20日から休業。
入口から中を覗いていると、中のスタッフが話しかけてくれた。

壁画を見たいと思って来たんですけど、休業だと壁画は見られないんですよね?

あっ、ちょっと待ってください。館長にきいてみます。

(館長が出てきてくださり)いいですよ。どうぞどうぞ。

えっ、ありがとうございます。

まず、女湯から案内していただく。
女性スタッフが3人仕事中。不審な顔でこちらを振りむく。

こんにちは~。

できるだけ明るく挨拶。館長の後ろについて、女湯に入る。

湯船の脇の陶壁画。
営業中なら絶対に見られない。

男湯の陶壁画。
これは営業中でも見られるが、写真に撮るのは無理そう。カメラを持って入れない。

休業中かつ館長の許可があったから撮影できた2つの陶壁画。
これは超ラッキー!といえるのかも。

砥部でも登窯(のぼりがま)が見られるらしい。行ってみよう。

千山窯。

規模は小さいが確かに登窯だ。

砥部焼伝統産業会館の駐車場。
陶器が使われた案内図。

JAえひめ中央の壁画。

同じJAの陶器オブジェ。優勝杯。

下には陶器製の解説板。

砥部町商工会の陶器製オブジェ。

陶器が敷かれた道を歩く。

陶祖ヶ丘に出る。

陶磁器のかけらが時代別に貼られている。
一番古い江戸中期がバラエティーに富んでいて面白い。
新しい時代になるほど画一的な感じ。

丘から町を望む。

たくさんの陶磁タイルが貼られている。

丘を降りるときに出会った風景。
煉瓦の煙突も錆びたトタン屋根もどちらもグッド。

ブルーシートが掛かった窯元的な建物。
後継者がいなくて廃業なのか?(あくまで個人の推測です)

砥部町陶芸創作館。

駐車場周囲には陶磁器タイルアート。気に入ったものをいくつか、

さすがに創作館。他とは違う才能を感じる。

10周年記念の陶磁器タイル。

若い陶芸作家が集まるという陶里ヶ丘に向かう。

途中で出会った風景。風になびく穂が素敵だ。
(たぶん)シロガネヨシ(白銀葭)

土壁の家。おそらく窯元の一つ。

陶里ヶ丘に着く。
個性的な窯元があちこちに。

一般住宅にも素敵な陶磁オブジェが。

門の上の壺。いいね。

今日の宿、内子に向かう。

川の中の家!!!
なぜこんなところに家を建てた???
行政がよく許可を出したものだ。
線状降水帯が停滞したら、あっという間に流されそう。

■本日のデータ
砥部はちょっと期待外れ。道などの陶磁器タイルは絵柄が雑な印象。手抜き感が否めない。(あくまで個人の感想です)

■本日の宿
内子。ごく一般的なビジネスホテル。