6月16日(土)14日め 二本松箪笥工房の女性社長にインタビュー(後半)

工房を見せていただく。

社長だった旦那様が5年前に亡くなったあと、文子さんが後を継いでやってきた。旦那様の清一さんは二本松木工家具協同組合の理事長をしており、先頭に立ってこの産業を盛り上げようと尽力したらしい。写真の最前列中央が清一さん。

旦那様が数々の賞を取ってきたことも文子さんの自慢だ。

亡くなったのは76歳だぁ、ちぃっと早すぎたなぁ。私は20台で嫁いでから52年、経理も作る方も手伝ってたから、何とか継いでやってきたけど。まわりは皆、ご主人が亡くなるとやめてしまったよ。

そうでなくても民芸家具では食べていけないから、みんな内装をやっとる。

この階段箪笥は、隣が家具工房をやめたときに、うちで引き取ったんだ。壊しちまったら二度と戻らんから。

この辺りを町じゃ「家具の街竹田坂」と言って宣伝しとるが、実際に家具専門で作っているのはうちぐらいだ。

20歳台後半で嫁いで52年、もうそれなりのお歳になる。お子さんはいない。後継者を探しているが見つけるのは難しいようだ。

何とか頑張って絶さないようにしたい、と文子さんは言う。頑張ってほしい、と思う。何も手伝えないのがもどかしい。このブログを読んで、力になりたいと思う人が出てきてくれたら嬉しいのだが。

例によって、記念撮影をさせていただいた。

11時から15時30分までずっとご説明いただいた上に、途中で昼食をご馳走になり、さらにこのようなお酒までいただいてしまった。本当に感謝の言葉もありません。

お蕎麦、美味しかったです。いつまでもお元気で頑張ってください。日本一周が終わったら、わが家の財務省を説得して欅の無垢材の箪笥を作っていただきたいです。娘が結婚するときに持たせるのもいいかもしれないですね。きっと本物の良さがわかると思うので。

最後に私の相棒とのツーショットを載せておきます。チャーミングに撮れてますよ。

【本日のデータ】

福島駅から二本松竹田坂まで22km、カブで約40分。

鈴木木工所のすぐ近くに酒蔵 大七 がある。

6月16日(土)14日め 二本松箪笥工房の女性社長にインタビュー(前半)

岳温泉の宿に置かれていた工芸箪笥が素晴らしかったので、製作した会社を訪ねてみた。

二本松市の竹田坂というところにある。二本松城家(しろや)箪笥と呼ばれる伝統的な家具の製作所が集まっているところだ。

お訪ねしたのは鈴木木工所。

店内はこんな感じ。写真は入り口付近の一部。左手奥にたくさんの家具が並んでいる。

対応してくれた女性に、岳温泉の宿で箪笥を拝見し素晴らしかったのでぜひ社長とお会いしたい、とお願いすると、その人がご本人だった!

こんにちは。入り口にある箪笥、あの色合いは今までの伝統家具で見たことがないです。落ち着いたいい感じですね。下に車が付いているのも珍しいですね。いいアクセントになっていてお洒落ですね。(写真 ↓ )

ああ、これはね、欅に漆を塗るとき色の調合を職人に言って変えさせてみたの。車はね、普通は見えないように中側に入っているの。これは表に出してみたの。

金具が美しい。最近の二本松の家具は松をあしらっているのが特徴だ。

デザインていうか設計っていうかは社長自身がおやりになっているんですか?

ああ、そうだねぇ。昔からやってるからねぇ。

そうなんですねぇ。いろいろ見せていただいていいですか?

どうぞどうぞ。これは階段箪笥。ふくしま特産品大賞をとったの。

倉においで。売り物はないけど。

案内された倉の中は素晴らしかった。写っているのが鈴木文子社長。

これは総無垢材の民芸時代箪笥。

銀の蝶をあしらった金具がお洒落だ。特注品とのこと。

下は明治44年の作。

これは二代目のおばあちゃんの。私で四代目。初夢の一富士、二鷹、三茄子をデザインしてるの。珍しいじゃろ?

板材の種類、工法、漆の塗りかたのいろいろ、金具のデザインなどについて説明していただいた。持っているのは黒柿の板材。模様が面白い。

とても興味深い内容ばかりだったが、すべて書くとスーパーロングインタビューになってしまう。残念だが省略。ちなみに文子さんが製作時に描くラフスケッチはこんな感じ。

(後半に続く)